堕落の通知表

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堕落の通知表:内容紹介

「わたしは、虫かごで嬲られるだけではいられなかった」 どこにでもいる平凡な女子高生・雪野まゆ。彼女の願いは、宝石のような青い羽を持つ蝶「オオルリアゲハ」のように、誰よりも美しく輝くことだった。 そんな彼女を見出したのは、莫大な財産を持つ孤独...
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プロローグ:ノア

世界は、偽りの愛に満ちている。 4月上旬。都心の夜景を見下ろすアトリエの窓辺で、僕は冷めたコーヒーを口に含んだ。眼下に広がる光の海。その一粒一粒に、欲望と、嘘と、ありふれた悲劇が詰まっている。20歳のまだ美大生だった頃、交通事故で両親を亡く...
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FJK―4月

桜なんて、早く散ってしまえばいいのに。アスファルトを埋め尽くす湿った花びらを踏みしめながら、わたしは心の中で毒づきました。 今日は4月8日。今年から3年間通うことになる都区内の私立高校の入学式。それなのに冷たい雨がしとしと降っていて、わたし...
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FJK―5月上・中旬

5月に入ると、ノアさんからの美容指導が本格的になりました。Noah:まずは、他力本願で簡単にできることから始めようか?Ageha:えっと……具体的には?Noah:僕が通ってる表参道の美容院を予約しておいたから、黙って整えてもらってきて。お金...
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FJK―5月下旬

5月も下旬になり、梅雨を前にうだるような蒸し暑い日が訪れ始めました。 クラスメイト達の顔に疲れが見られる中で、わたしは一人、生き生きとしています。 背筋は、今までになくピンと伸び、唇にはノアさんからのプレゼントと言える、ローズレッドの口紅を...
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FJK―6月

梅雨入りした東京は、連日重たい灰色の雲に覆われていました。湿気をたっぷり吸い込んだ空気は皮膚にまとわりつき、教室の窓ガラスは結露で曇っています。6月の湿度は、癖毛の女子生徒たちを憂鬱にさせ、体育終わりの男子生徒たちの汗の臭いを教室中に充満さ...
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FJK―7月20日

運命の日がやってきました。期末試験は散々の出来でした。この日のことでずっと頭が一杯で、勉強に全く集中できなかったのです……いえ、正直に言って、それ以前に私立進学校の授業のレベルの高さと進む速度に全然追いつけていませんでした。勉強のことはノア...
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FJK―7月20日深夜

都心の夜景を一望できる、高級ホテルの最上階スイートルーム。分厚いカーテンが下界の喧騒を完全に遮断し、部屋には静寂と、数時間前の情事の後の甘い熱気が漂っていた。 キングサイズのベッドの上、僅かに赤い染みのついた乱れた純白のシーツには雪野まゆの...
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FJK―夏休み1

8月最初の火曜日。わたしは、都内の高級住宅地にそびえ立つタワーマンションのエントランスで、緊張に震える指先を握りしめていました。40階建ての最上階。そこが、ノアさんの住居兼アトリエです。 なぜここに来てるかというと、7月20日のあの夜の翌朝...
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FJK―夏休み2

8月上旬。夏の日差しがアスファルトを焦がす猛暑の朝、わたしの家の前に、周囲の景色とは明らかに不釣り合いな一台の車が滑り込んできました。 漆黒のボディが濡れたように輝く、巨大な高級セダン。ボンネットには威厳あるエンブレム。以前ノアさんに聞いた...
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