第7話:円環の堕落

 3年後に大学を卒業すると、私は日系航空会社のキャビンアテンダントとなった。
 奏多との関係はフェードアウトし、いつの間にか終わっていた。
 
 伊織さんのことを忘れたことはなかった。
 彼から連絡がくることはなかった。
 
 さらに、5年以上の月日が流れた。
 私は27歳を迎えようとしていた。
 国際線のビジネスクラスを任され、チーフパーサーの補佐も務めるようになっていた。
 隙のない完璧な所作と笑顔も身につけていた。

「Good afternoon. Would you like some champagne?」

 機内の乾燥した空気の中で、造花のような美しい微笑みを浮かべる。
 制服のスカートに皺一つなく、髪は夜会巻きで一糸乱れぬようにまとめ上げている。
 これが、私が掴み取った虚構の世界。

 プライベートもまた、シナリオ通りに進んでいた。
 婚約者は同じ航空会社のパイロット、将人(まさと)、30歳。
 長身で育ちが良く将来を嘱望される彼と、CAとして乗客の皆様に完璧な笑顔で一流のホスピタリティを提供する私。
 社内報に載るような、絵に描いたような空の美男美女カップルだ。

 将人との関係はフライトプランのように順調で計画的だ。
 私たちの間に流れる空気は、高度1万メートルの空気が薄いのと同じように、どこか希薄だった。

 3月19日。
 ニューヨーク。
 JFK空港へのフライトを終えた私は、現地で3日間の休暇を取っていた。
 日本の航空会社は年度末。
 溜まった有給を消化するため、無理やりスケジュールを空けてマンハッタンへと繰り出した。

 今日は、私の27回目の誕生日だ。
 将人は別のフライトで仕事をしている。
「帰国したら盛大に祝うよ」と言ってくれている。
 でも私はどうしても、今日という日を一人で過ごしたかった。

 ……いいえ、本当は一人になりたかったわけじゃない。
 心の奥底で、同じ誕生日の「あの人」のことを思い出してしまうのが怖くて、異国の雑踏に逃げてきたのだ。

 向かった先はメトロポリタン美術館。
 まだ冬の寒さが残るセントラルパークの横に佇む、美の殿堂。
 私は広大な館内を目的もなく彷徨った。

 デンドゥール神殿の広大なガラス窓から薄曇りの空を眺めていた時。
 視界の端に、ある男性の背中が映り込んだ。

 ドクン、と心臓が早鐘を打つ。

 まさか?!

 でも、あの広い肩幅、自信に満ちた、あの立ち姿。

「……伊織、さん?」

 緊張で上擦る声で名前を呼んだ。
 男性がゆっくりと振り返った……やはり伊織さんだった。

 7年という月日は、彼を驚くほど洗練された、タフな大人の男に変えていた。
 今日で36歳になったはずの彼は、医師として脂が乗り切り、圧倒的な色気を纏っている。
 これからの医学界を引っ張る新進気鋭の医師のひとりとして紹介されている記事を読んだ。たしか脳外科の専門だったはず。

「……結愛、か?」
 彼が驚いて目を見開いた。
 その瞬間、美術館の雑踏が遠のき、世界は私たち二人だけになった。

「どうして、ここに?」
「フライトでこっちに来ていて、今日から休暇なの。伊織さんは? 記事を読んだわ、忙しそう」
「まぁな……だから学会が終わって、少し休みを取った。まさか、こんなところで会うなんてな」

 伊織さんは穏やかに微笑み、私に歩み寄った。
 7年ぶりの距離。わずか1メートル。
 腕時計に視線を落とし、また私を見た。

「27歳になったんだよな?誕生日おめでとう」
「はい。伊織さんも、36歳のお誕生日おめでとうございます」

 互いに言葉を交わした瞬間、7年前の記憶、そして、15歳の卒業式の日の記憶までがフラッシュバックした。
 私たちは示し合わせたわけでもないのに、同じ誕生日に、同じ場所に引き寄せられた。
 これを運命と呼ばずして、何と呼ぶのだろう。

「見違えたな、結愛。いい女になった」
「あれ、前はいい女じゃなかったとでも?」
「いや、そうじゃない。俺に女を見る目がなかっただけだ」
「確かにそうですね……許してあげます。伊織さんこそ……素敵です」
「おや? お世辞も上手くなったみたいだな」
「いいえ、本心ですよ、もう」

 伊織さんは、アメリカの最先端で戦う脳神経外科医としての自信と、男としての余裕を纏っていた。
 パイロットの将人がスマートな旅客機だとしたら、伊織さんは鋼鉄の戦闘機のような、圧倒的な重量感があった。

「タバコ、やめたんですね」
「ああ。脳外科医の手が震えては困るからな。今は走って鍛えるのが趣味だよ」

 彼は短く笑い、核心に触れる問いを投げかけた。

「……それで? 幸せか?」

 その問いの意味を、私は瞬時に理解した。
 別れたあの時、彼は言った。
 他の男と幸せになれ、と。

 私のバッグの中には、将人から贈られたハリー・ウィンストンの婚約指輪が入っている。
 半年後には式を挙げる予定だ。
 はい、パイロットの素敵な婚約者がいます。そう答えるのが正解だった。

 けれど。
 彼の瞳の奥に、理性的でありながらも隠しきれない、私への渇望を見てしまった。
 その瞬間、私は人生で最大の嘘をついていた。

 小首を傾げて、寂しげな笑みを浮かべてみせる。
 CAとして5年間培ったハリウッド女優顔負けの演技力が、こんな場面で役に立つなんて。

「……ううん。まだ一人よ。仕事が忙しくて、なかなかいい出会いがなくて。誕生日に一人で美術館に来るくらいだもの、察して欲しいな」

 伊織さんの瞳に、驚きと、そして隠しきれない歓喜の色が広がった。
「そうか、俺もだ」
「伊織さんも?」
「ああ。今日は誰にも会いたくなかった。ずっと、ある女の子のことを想っていたからな」

 嘘じゃない。
 彼の言葉は真実だ。
 彼もまた、誕生日に私のことを想ってくれていたのだ。

「……この後、予定は?」
「……ありません。明日の朝のフライトまで、全くのフリーです」

 伊織さんが私の手を取った。
 その熱に触れただけで、私の身体は歓喜に震えた。

「それなら、二人でお互いの誕生日を祝いあうのはどうだ?」
「いいですね。楽しそう、うふふ」

 私たちは走るように美術館を後にした。
 まだ冷たい3月の風が吹くマンハッタン。
 繋いだ手から伝わる熱だけで、私は十分に暖かかった。

 イエローキャブを降りた瞬間から触れ合わずにはいられなかった。
 マンハッタンの夜景を一望できる、5つ星ホテルの高層階。
 重厚なカードキーでドアを開け、部屋に足を踏み入れた途端、背後から抱きすくめられた。
 ドアが閉まると同時に、乱暴な口づけが降ってくる。

「ん……っ、んぅ!」
 7年ぶりの唇。
  酸素を奪い合い、互いの唾液を啜り、舌を根元まで絡ませる、窒息しそうなほどの渇望。

 ベッドまで辿り着く余裕さえなかった。
 伊織さんは私を窓際のガラスに押し付けると、CAの制服のスカートを捲り上げ、ストッキングを強引に引き裂く。

 ビリッ!
 乾いた音が静かな部屋に響いた。
 露わになった太ももに、彼のごつごつした掌が這う。
 熱くて、湿っていて、私の性感帯を熟知している魔法の指。

「結愛……っ、我慢できない。入れるぞ……ッ!」
「待って、伊織さんさん、まだ……あッ、ぁああああ……ッ!」

 窓ガラスに手をついた私の背後から、彼が立ったまま一気に貫いた。
 7年ぶりの質量。
 裂けるような痛みと、脳髄が痺れるような充足感が同時に襲ってきた。
 眼下にはニューヨークの100万ドルの夜景。
 ガラスに映るのは、スカートを捲られ、男に背後から犯される乱れた女の姿。

「きつい……。なんて吸い付きだ……ッ!」

 伊織さんの腰が激しく打ち付けられる。
 私の膣壁は歓喜の声を上げて彼に絡みつく。
 久しぶりの獲物を逃がさないように、強く締め付ける。

「あッ……すごい、奥、当たってるぅ……ッ!」

 久しぶりのナチュラルな結合は、あまりにも強烈すぎた。
 獣のように貪り合う私たち。伊織さんが私の腰を強く掴み、最奥を抉ると私は達した。彼も達したが、ギリギリで引き抜いて私の股間で射精し、夜景を白く染めた。

 最初の飢えを満たした後、もつれ合うようにベッドへと移動した。
 今度は互いの服を一枚ずつ丁寧に脱がせ合う。
 全裸になった伊織さんの姿を見て私は息を呑んだ。

 かつて私が知っていた、少し細身で、手術痕が痛々しかった背中は存在しなかった。
 そこにあるのは、ギリシャ彫刻のように鍛え上げられ、完璧な雄の肉体だった。

 分厚い胸板、割れた腹筋、血管の浮き出た太い腕。
 アメリカでの過酷な医療現場を戦い抜くために鍛え上げられたその身体。
 圧倒的な生命力と、暴力的なまでの性的魅力を放っていた。

「……すごい。とっても硬いです」
 私がうっとりと胸筋に触れると、彼が愛おしそうに私の手を取った。
「もう、二度と、愛する女に裏切られない強さが欲しかったんだ」
 その言葉に胸が締め付けられた。

 ベッドに横たわり、今度は慈しむように、ゆっくりと肌を重ねる。
 7年間の空白を埋めるような、湿度のある愛撫。
 彼の指が地図をなぞるように私の身体を這う。
 かつて彼が開発した性感帯は、7年経っても錆びついてはいなかった。
 私の身体は触れられるたびに、甘い声を上げて反応してしまう。

「今度は、私がしてあげる」

 彼を仰向けに寝かせると、その逞しい身体に跨った。
 かつて、彼に仕込まれたご奉仕テクニックの数々。
 将人には一度も見せたことのない淫らな彼専用の技術を、今夜はすべて解き放つ。

 まずは、彼の剛直に顔を寄せる。
 さっき射精したばかりなのに、もう血管を浮かせて屹立している。
 それを、私は丁寧に口に含んだ。

 ジュルッ、じゅぼ……。
 舌を裏筋に這わせ、頬をすぼめてバキュームする。
 喉の奥を開いて、亀頭を深く飲み込む。

「くっ、……結愛、だれに仕込まれたんだ……」

 伊織さんが快感に顔を歪める。
 私はさらに、豊満な胸を寄せて、彼の竿を挟み込んだ。
 オイルで濡れた胸の谷間で擦り上げると、彼はたまらず腰を浮かせた。

――私を仕込んだのは、伊織さんでしょう?
――好きなことも、全部覚えているわ

 私は妖艶に微笑むと、腰を沈め、彼の上に跨った。
 ゆっくりと、彼の熱い杭を飲み込んでいく。

「ん……っ、はぁ……入った……」

 伊織さんの腹筋に手をつき、腰を前後に揺らす。
 膣内のひだで彼のモノを締め上げながら、グリグリと自身のスポットを擦り付ける。
 私の淫らな動きを見上げる伊織さんの瞳は、熱情でドロドロに溶けていた。

「もう駄目だ、結愛……こっちへ来い」

 限界が近づいた伊織さんが、私の身体を反転させ、下へ組み敷いた。
 最も密着し、愛し合える体位。
 彼は私の脚を高く持ち上げ、腰に絡ませると、根元まで深く、重く、打ち付ける。

「結愛、愛してる……ッ!」
「あッ、深いぃ、伊織さん、大好きぃ……ッ!」

 何度も何度も、甘い言葉と共に唇を重ねる。
 唾液が混じり合い、汗が混じり合う。
 彼なしでは生きられない。
 このまま溶けあってしまいたい。

 伊織さんの動きが激しくなる。
 絶頂の予感。
 彼は理性の淵で、私を気遣うように動きを止めかけた。

「……出すぞ、外に……ッ」
「いやっ!」

 私はとっさに、彼の腰に絡めた脚に力を込め、逃がさないようにロックした。
 彼の耳元で、甘く、切実に囁く。

「お願い、中に出して……!」
「おい、でも……!」
「大丈夫、ピル飲んでるから……!  お願い、全部膣内(なか)にちょうだい……ッ!」

 嘘だ。ピルなんて飲んでいない。
 でも、欲しかった。彼の命が。
 彼と私が繋がった証が。
 私の身体の中に、消えない楔を打ち込んで欲しかった。

 その言葉が引き金になった。
 伊織さんは唸り声を上げ、私の最奥を強く突き上げた。

 ドプッ、ドプッ、ドクン……!!

 熱い奔流が、堰を切ったように私の中に注ぎ込まれた。
 1回目よりも濃密で、大量の種。
 私は白目を剥いて痙攣し、子宮口が焼けるような熱さを全身で受け止める。

「あぁ……ん……ッ!  イクぅ……ん、ぐ……ぅ…………っ!」

 長い、長い絶頂の余韻。
 彼の一部が私の深くまで満たしていく感覚。
 薄れゆく意識の中で、繋がった下腹部を愛おしく感じながら、彼のモノを絞り続けた。

 気がつくと私は、汗ばんだ裸体で伊織さんに抱かれたまま、泥のように眠っていた。
 時計をみると朝の4時を回っていた。

 伊織さんの寝息を聞きながら静かにベッドを抜け出した。
 日本への帰国便のフライトまでは余裕がある。
 しかし私は、彼の寝ている間に去らなくてはならない。

 引き裂かれたストッキングをゴミ箱に捨て、予備のものに履き替えた。
 乱れた髪を夜会巻きに結い直し、鏡の前で笑顔の練習をする。  

 デスクのメモ帳に、ペンを走らせる。
 嘘つきな私からの手紙。

『伊織さんへ。夢のような時間をありがとう。ごめんなさい。実は私、今年の秋に結婚するの。相手は同じ会社のパイロットの彼氏。だから、昨日のことは忘れて。貴方も素敵な人と幸せになってね。さようなら』

 なんて残酷な女だろう。
 彼に独り身だと嘘をついて抱かれ、終わった後に真実を告げて逃げるなんて。

 でも、こうするしかなかった。
 婚約をいまさら破談にはできない。
 そんなことをして彼の元へ走ってしまったら、彼の医師としての栄光の人生を壊してしまうだけだ。

 眠る彼の頬に、触れるだけのキスをする。
 さようなら、私が本当に愛する男性。
 私は造られた愛の世界へ帰ります。

 ホテルの部屋を出て長い廊下を歩き出す。
 下腹部に残る彼の精液の温かさは、伊織さんと濃密な愛の時間を過ごした証だった。

 帰国後の日々は、3倍速の映画のように過ぎ去っていった。
 半年後。
 私は都内の高級ホテルで将人と結婚式を挙げた。
 純白のウエディングドレスに身を包んだ私と、パイロットの儀礼服を着た将人。
 参列者たちからお似合いのカップルだと口々に褒めそやされた。

 教会の後部席に、黒いスーツを着た伊織さんがいた。
 目が合った瞬間、彼は悲しげな、慈愛に満ちた瞳で微笑んだ。
 言葉はなくても伝わってくる。

『幸せになれ』

 その視線を受けた瞬間、私の下着の中が熱く濡れた。
 心がどれだけ社会的な正しさを選ぼうとしても、私の身体は彼を選んでしまう。
 祭壇での誓いのキスよりも、彼と交わした視線のほうが遥かに私の魂を震わせている。

 このとき私は悟ってしまったのだ。
 ああ、やっぱり。
 女は心よりも、身体で男を愛するようにできているのだ、と。

 新居での新婚生活は穏やかだった。
 将人は完璧な夫だった。
 しかし私は、結婚後もフライトの合間を縫って、伊織さんとの密会を続けていた。

 ニューヨークでの一夜を最後に、私は伊織さんとの関係を清算するつもりだった。
 けれども、一度火がついた本能は、理性の堤防など容易く決壊させた。

 離れられなかった。
 結婚したとか、彼がアメリカに住んでいるとか、年の差があるとか。
 そんな障害は、私たちの絶対的な身体の相性の良さの前では、完全に無力だった。

 マンハッタンのアパートメントで、私たちは獣のように求め合う。

「愛してる、愛してる、結愛」
「私も……私も、愛してる、伊織さん……ッ!」

 ここでは、言葉に出して愛を伝え合う。
 社会的には決して結ばれない二人だからこそ、肌を合わせている瞬間だけは、嘘のない本物の恋人でいたかった。
 夫との人工的な交わりでは得られない、魂が溶け合うような自然な充足感。
 この非日常があるからこそ、私は日常を演じられる。

 ある朝。
 将人がフライトに出かけた後の洗面所。
 私は陽性反応が出た検査薬を見つめていた。
 タイミングを考えれば、答えは明白だった。
 将人とはずっと避妊している。

「ふふっ」
 静寂な洗面所に、私の乾いた笑い声が響いた。

 伊織さとの子供だ。
 どうしようもなく愛してしまった人。
 社会的には結ばれないけれど、身体の相性が世界で一番良い人。
 その人との結晶が、今、私の身体の中で息づいている。

 鏡の中の自分を見た。
 そこには、かつて軽蔑していた姉・紗香と同じ顔があった。
 でも後悔はない。
 だってこれこそが、私の身体が出した答えだから。

 ガチャリ、と玄関のドアが開く音がした。
 将人が忘れ物を取りに戻ってきたようだ。
 検査薬を握りしめてリビングへと向かう。

「あれ、結愛? どうしたの、そんな顔して」
 将人が不思議そうに私を見る。

 私は少し困ったような、でも嬉しさを隠しきれないような、完璧な妻の表情を作った。

 「……あのね」

 夫の手を取り、自分のお腹に当てる。

 「妊娠してた……避妊、失敗しちゃったみたいね」

 将人は目を丸くして固まった。
 次の瞬間、喜びで顔をくしゃくしゃに歪めた。

「えっ、本当か!?  失敗って……ゴムが破れてたのかな? でも、すごい! 嬉しいよ、結愛!」
「ごめんなさい。計画より早まっちゃって」
「謝ることなんてないよ!  神様からのプレゼントだ!」

 彼は私を抱きしめ、くるくると回った。
 その腕の中で、私は将人の背中越しに虚空を見つめた。

 そう、「神様」からのプレゼント。
 空にいる貴方ではなく、地を這い、私の身体の髄まで愛してくれた、あの人からの贈り物。

 この子は、優秀なパイロットの子供として生まれ、何不自由なく育つだろう。
 その血管には、天才脳外科医の血と、自然な愛情が流れている。
 私と伊織さんが、世間や理性を超えて愛し合った証の血。

「愛してるよ、結愛」
「私もよ、あなた」

 夫にキスを返しながら、遠い異国の地にいる愛しい人を想った。
 
 これが私の選んだ幸せ。
 造花で飾られた暮らしの中で、私は今日も、身体の疼きに従って堕ちていく。

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