ちゃぷん。
「ふ~、やっぱり外は気持ちがいいわね。それに一人で独占しちゃってるし♪」
午前3時過ぎ、芽美は一人で露天風呂に浸かっている。灯篭型のガーデンライトの灯りが湯船の周辺を幻想的に照らし、深夜の静けさの中に鬼怒川のせせらぎがかすかに響いている。
暗い空を見上げると、雲の隙間から時折月明かりが漏れる。どうやら今夜は満月のようだ。昼間は暑いくらいだった気温が深夜になってぐっと冷え込んだせいか、周囲には霧がかかりはじめて幻想的な雰囲気を醸している。
あれから三人で追加のお酒を飲みながら恋バナ、という名目のエッチトークに夢中になっているうちに酔いつぶれてしまったようで、気がついたら灯りのついたままの室内に乱れた浴衣姿で横たわっていた。
他の二人はどうしているのか見回すと、美咲は窓際のソファで座ったままスヤスヤ眠っていた。里奈は部屋の隅の板張りの床の上でパンツだけの姿で壁に向かってなにやら寝言を言っていた。
二人を起こして布団に寝かせ、グラスなどを簡単に片付け、自分も布団に入って寝ようとした。しかし他の二人と違って一度完全に覚醒してしまったせいか、なかなか寝付くことができなかった。
そこで夕食前のお風呂タイムには恥ずかしくて勇気が出なかった「混浴」の温泉露天風呂に、この時間なら誰もいないだろうと、酔いの残る頭で楽観的に考えてチャレンジしているところだった。
といっても芽美は裸で入浴しているわけではない。この宿では、一箇所しかない温泉露天風呂を女性のお客様にも堪能してもらいたいとのサービス精神から、特製の湯浴み着を用意している。
チェックイン時に、予め予約の際に注文しておいたサイズの湯浴み着を一泊につき二着わたされ、男女別の内湯から混浴の温泉露天風呂のスペースに入る時には、男性も女性も必ず着用しなければならない規則になっている。したがって、露天風呂に誰もいないことを確認したうえで入浴した芽美も、当然これをまとっている。
乾性で肌触りがよく、上品な色の湯浴み着を芽美は気に入っていた。ただ、なるべく入浴の邪魔にならないよう最低限の箇所を隠すだけのデザインにしようとした配慮なのか、それとも他の理由があるのか、女性用の湯浴み着は妙に艶かしいデザインとなっている。
ホルターネックのミニワンピースのような形状で色は白。可愛くてオシャレなデザインではあるものの、背中が腰近くまで大きく開いている。また丈が短く、立っているとき太ももが半ばまで露出してしまう。
首の後ろと背中、腰周りの三点を紐でくくるようになっているから脱げることはないが、お湯に入ると身体にぴったりと張り付き身体のラインが浮き彫りになる。スタイルにある程度自信がある女性でないと似合わないということだ。
しかも、白色の薄い布地はお湯に濡れると微妙に透けて、その濃さによっては乳首の色や下半身の陰りがうっすらと見えてしまいそう。結果として露天風呂に入る女性を選別するものとなっている。
このように、選ばれた女性しか着れない=入浴できないことが、この温泉宿の女性人気(ひいては男性人気)の密かなポイントとなっているようで、女心の複雑さが伺える。
以前の芽美であれば、体型に劣等感を抱いていて、こんな湯浴み着を身につけて入浴することはなかったであろう。しかし、拓海に何度も抱かれながら「お前の身体は素晴らしい、セクシーだ」と繰り返し賞賛されたことから、今の芽美の中では体型への劣等感は薄れていた。下の毛は拓海に剃られていたし、乳首の色はきれいな薄いピンクだから透けることを心配する必要もない。この湯浴み着をまとって入浴することを躊躇う理由はなかった。
またそれだけではなく、酔いが芽美を大胆にしていた。胸中には拓海以外の他の男性から自分の身体がどう見られるのか知りたいという微妙な女心があった。だから、誰もいない露天風呂にほっと溜息をついたのは、安堵というよりはむしろ残念な気持ちの発露だったのかもしれない。
男女とも水着着用にしなかったのは、高級温泉旅館としてのこだわりがあるようだ。プールではないし、お客様に水着を家から持ってきていただく手間を強いるのも、癒しを提供するサービス業として避けたいということのようだ。
男性用は湯浴み着といっても、見た目は黒い布を腰に巻きつけているような感じ。腰まわりにゴムひもが入っていて簡単には落ちないようになっている。布地は薄いが黒色なので透けることはない。
「それにしても、拓海さんが旅行を許してくれるとは思わなかったなぁ」
風向きが変わり冷えた空気が流入してきたせいだろうか、霧が深まり視界が狭まるが、そのぶん風情が増す。しんとする深夜の露天風呂にひとりでゆったりと浸かりながら、芽美は生理が終わったあとの先週末、2週間ぶりに例の部屋で調教を受けた時のことを思い返す。
居間で食事をした後、お風呂で貴族の令嬢のように体をすみずみまできれいに洗われ、剃毛され、ナターシャによって娼婦のような派手なメイクを施された後、調教部屋に移動してこんな会話をしたことを・・その後の調教のことを・・・。
「俺はお前の行動を縛るようなことはしない。可愛いお前には色々な新しいことを経験して人生を楽しんでもらいたい。より魅力的なマゾ牝奴隷に成長することにも繋がるからな。それに、会えない時間が愛を育むんだよ・・いや育むのは性欲かな?」
「え、じゃあ本当に行っていいんだ?ありがとうございます、拓海さ・・・ご主人さま。でも付け足しは余計ですよ、『色々な新しいこと』っていうのもエッチ関係のことに聞こえちゃう。愛も性欲も育みませんし」
「それはメグがエッチなことばかり考えているからだろう?俺が許すのは、行ったことのない場所へ行ったり、食べたことのない料理を食べたり、会ったことのない人に会ったり、やったことのない遊びや運動に挑戦したり、知らないことを学んだりすることだ。俺以外の他の男とのセックスがらみの体験を許すつもりはないぞ、今のところはな」
「そんなことありません!それは拓海ご主人様といるときだけですっ!」
「ほほう、俺といるときは常にエッチなことを期待しているんだな、良い傾向だ」
「そんなことはないですけどっ?いやそれより、そういうことなら合コンにいったり他の男性とデートしたりしてもいいってことですか?エッチなことをしなければ?それに『今のところは』ってどういう意味ですか、すごく気になるんですけど!?」
図星をつかれて話をそらす芽美。
「ああ、いいぞ。そうだな・・・いちいち俺の許可を仰ぐのは面倒だろうし、相談する時間がないこともあるだろう。だからこうしようか。今から言う行動指針に基づいて、自分で『やっていいこと』『やってはいけないこと』を判断して行動する。ただし、何をしたかは事後でいいから隠さずに報告すること、どうかな?」
「それは、その指針次第ですね」
「『新しいことに積極的であれ』『常に肌をきれいに保て』『常に上品であれ』この3つだ。シンプルで覚えやすいだろう?」
「え、そんなのでいいんですか?」
「ああ。でも意外と奥が深いと思うんだが」
「そうですか?うーん、確かにちゃんと実行するのはなかなか難しいかもしれませんねぇ。でもいいですよ、女として大事なことだし」
「よし。これに違反したらお仕置きだからな」
「え~、それはいやだなぁ」
「どこがいやなんだ?」
「だって、指針に反したかどうかなんて、ご主人様のさじ加減ひとつだし。お仕置きだって、どんなやつかわからないと不安だし。それにエッチのときは、上品じゃなくなっちゃうかもしれないし」
「なら指針に反したかどうかは、俺とメグの話し合いで決めることにしよう。それでお前が指針に反したと思ったときは、俺のバラ鞭を甘んじて受けろ。エッチのときは、上品でなくても色っぽければ許すとしようか」
「それならまぁ・・・ちなみにお仕置きの内容は?」
「ナターシャの一本鞭だな」
「ええ~!」
「当然だろう。奴隷のお前が俺に秘密を持つことは許さん」
「はぁい。ところでそのナターシャさんは?お風呂に入ってメイクしてもらったあとから、ずっと姿が見えないけど。後でここに現れたりするの?」
「いいや、来ない。ナターシャにはお前を調教するときには帰宅してもらうことにした」
「それはどうして?」
「今の俺はお前に夢中だからな。お前を敵視するナターシャに邪魔されたくない」
「そんなことを言っても騙されませんから。どうせ私がいない日にナターシャさんとエッチしているんでしょう?」
「気になるのか?」
「いいえ、ただの話の流れよ」
「なら答えはノーコメントにさせてもらおう。ただ今後、調教のたびにお前に精を絞りとられてしまえば、ナターシャを抱きたくなるような気持ちも起きにくくなるだろうさ」
「ふーん、そうなんだ」
「ふふ、どうやら頑張る気になったようだな」
「べつにそんなこと・・・さっさとはじめてください、ご主人様!」
「そうだな。近くへおいで、メグ!」
「はい、ご主人様!」
調教部屋の中央付近の赤いミニソファに座っている拓海へ芽美が近づくと、お風呂用の細い銀色の金属の鍵付き首輪がはずされ、調教時の太く赤い皮製の鍵付き首輪に付け替えられる。
「細い首輪もお洒落だが、お前にはやはりこっちのほうが似合うな」
「・・・ありがとうございます、ご主人様」
不本意ながら褒められたお礼を述べるマゾ牝奴隷の芽美。
「ところで、美容院にでも行ったのか?」
首輪を付け替え終わった手で芽美のセミロングの髪を梳きながら尋ねられると、芽美は嬉しそうにこう答える。
「はい!昨日の夜カラーリングしてきました。本当はリタッチにしようと思ったんですけど、退色もしてるし、値段もそんなに変わらないので、フルで」
「やはりそうか。きれいな色だな、光が反射すると特に」
「ウォームブラウンベースに、ツヤ感出すのにブルーバイオレットのニュアンス入れました。職業柄、そこまで明るくできないので、ほぼ自己満足ですけどね」
そんな風に言いながらも芽美は満更でもなさそうな表情をしている。
「そうか。それならいっそのこと真っ黒に戻してしまうのもありかもしれないぞ。赤い首輪とのコントラストが強調されて色っぽさが増すだろうから」
「もう、ご主人様はセクシーかどうかばかりを気にしすぎですよ」
「すまん、お前がもっとセクシーになるかもしれないと思うとつい・・首輪のことは別にしても、和風の顔だちのお前には黒髪は似合いそうだが」
「和風の顔だちって褒めてるんですかぁ?」
「もちろんさ。可愛いよメグ」
「とってつけたように褒めても響きませんようだ」
しかし先程より芽美の表情は柔らいでいる。鏡面壁に映る赤い首輪の自分を見て芽美は確かにそれもありかもと思う。
「・・でもまぁ、そのうち、気が向いたらそうしてみますよ」
「よろしく頼む。さて、マゾ牝奴隷芽美に命じる、chant(詠唱)!」
拓海はそう言うと、調教時のBGMである、エリックサティのジムノペティをかける。
「はい、ご主人様」
芽美は拓海の足元にひざまづくと、拓海と視線を絡ませながらマゾ牝奴隷の口上を抑揚をつけて唱える。
大好きなタクミご主人様
今日もマゾの私をお望みのままに調教してくださいませ
SMセックスの快楽で
ふだん上品ぶっている私にメスの自覚を叩き込んでくださいませ
淫らな私のお口・牝穴・尻穴を自由にお使いいただき
何度でも気持ち良く射精してくださいませ
それが処女を捧げてマゾメス奴隷の契約を結んだ
わたくし、吉野芽美の幸せでございます
詠唱が進むに連れて芽美の表情は淫靡さを増していく。唱え終えるとソファに座っている拓海の膝に跨り対面座位の姿勢になる。首と背中に手を回し情熱的なディープキスをたっぷりと時間をかけて行なう。唇を離す頃には芽美の双眸は情欲でしっとりと濡れている。
続いて拓海の股間にひざまづきフェラチオ。拓海の短パンを脱がし、半勃起状態のペニスを手を使わずに口だけで愛撫する。硬く屹立し先走り液の味を舌に感じるようになるとフェラを止めて床マットに仰向けに横たわる。すでに芽美の秘所は湿り気を帯びている。
拓海は立ち上がってTシャツを脱ぐと、両足を軽く開き天上の鏡に映る自分を虚ろな瞳で眺めながら無防備に横たわっているマゾ牝奴隷の肢体に、特製の香油を使った性感開発マッサージの愛撫をじっくりと施す。「nubile cunt・・・, luscious cunt・・・, sopping cunty・・・,rammy cunty・・・」と囁きながら。マッサージが終わる頃には、芽美の身体は湧き上がる激しい性欲と強い隷従心に支配されている。
「Show and pose!」
次のステップは濡れ濡れの秘所の写真撮影。芽美は前の撮影時に抵抗したことで浣腸の懲罰を受けたこと、次回の撮影の際には淫らに映る工夫を考えるという課題を与えられたことを忘れていなかった。
「は、はいっ、ご主人様!」
芽美はマッサージで弛緩した上半身をゆっくりと起き上がらせると、予め用意していたリボン付きの黒のレースのガーターリングを左脚の太ももにはめる。膝を曲げて両脚を大きく広げ、両手を大陰唇にあてて左右に押し開いた状態でご主人様の意見を伺う。女性器を撮影される恥ずかしさを隠そうと、ぎごちない笑顔を浮かべているさまが健気だ。
「いかがですか、ご主人様?」
「うむ、なかなかいい写真が撮れそうだな。課題はクリアだ」
芽美の手と足の爪は綺麗な真紅に塗られていた。
「よかった。でも、どうしてこんな写真を撮るの?」
芽美はほっとして尋ねる。
「可愛いマゾ牝奴隷の女性器がご主人様とのセックスでどのように淫らに変貌していくのか記録するためさ。一眼レフの30倍の光学ズームだから毛穴まで綺麗に写るぞ。処女のときの写真も撮ってあるから安心しろ」
「そんなの悪趣味よ!ご主人様の変態!」
「ふふ、その自覚はあるさ。しかしお前も同類だぞ?」
「違います!」
「それに女は写真に撮られるのが好きだろう?女性器だけじゃなく全身写真もちゃんと撮影してやるから楽しんでくれ」
「そんなことありません!撮られるのべつに好きじゃありませんから!それにそんな撮影、破廉恥すぎて楽しめませんよ!」
「そうか?とにかく撮影してみればわかることさ」
拓海はこれ以上の口答えを許さず、照明をあて撮影を開始する。調教部屋の中にパシャ、パシャ、パシャというシャッター音が響き、同時にストロボの光が室内を明るく照らす。芽美は怒りと困惑の硬い表情を浮かべ大陰唇を広げたままの姿勢で全身撮影が終わるのをじっと待つ。
「さあ、次は女性器のアップだよ」
パシャ、パシャ、パシャ。パシャ、パシャ、パシャ。
芽美の大事な部分がライトで照らされ近距離から撮影される。
―この距離、この角度なら顔は写らないわね―
ほっとする芽美。緊張が解けたせいなのか、性器を撮影されているという事実に激しい羞恥心が湧き上がってくる。
―性器をアップで撮影されるなんて、恥ずかしすぎるっ!―
そう思うと顔が真っ赤になり、身体全体が熱くなる。
「よし、今度は小陰唇を広げてみようか?おや、どうした?顔が真っ赤だぞ?」
そう言いながら顔を上げた拓海に指摘されて芽美はますます恥ずかしくなり下を向いてしまう。
「なんでもありませんから・・・」
「それならいいが。さっきと違いを出すために小陰唇は片手で広げてみようか?中指と人差指でVサインをするみたいな要領で・・・まずは指をあててみようか?」
「はい、ご主人様・・・」
芽美は拓海と目を合わさないように下を向いたまま小陰唇に指をあてる。
パシャ、パシャ、パシャ。
「さ、広げて!」
「はい・・・」
芽美は自分の目で見ながら小陰唇をゆっくりと左右に広げる。
クチュッという音がして膣内から蜜が滴るさまを目にした瞬間、パシャパシャパシャというシャッター音が響く。
―なんでこんなに濡れちゃってるの?恥ずかしいっ!―
そう思うと、膣内からつぎつぎと蜜が溢れ出てきて止まらなくなる。その様子を拓海のカメラが冷酷に記録していく。
パシャ、パシャ、パシャ。
「うん、いい写真が撮れたよ。さっきの全身写真は表情が硬くていまひとつだったから、もう1回撮影してみようか?今度はいい写真が撮れそうだから。さ、顔をあげてごらん、メグ?」
しかし芽美はさっきあんなことを言っておきながら性器を撮影されて性的に興奮してしまっている自分が恥ずかしくて顔をあげられない。
―私ってMってだけじゃなく、変態なのかな?―
諦念と性的興奮で涙が零れ落ちる。そんな芽美に拓海の厳しい命令がくだる。
「顔を上げてカメラのレンズを見ろ!」
のろのろと顔を上げるマゾ牝奴隷に容赦なくフラッシュが浴びせられる。
「いいぞメグ!羞恥と淫靡さの篭もった凄く男をそそる表情だ!最高にいやらしいぞ!」
賞賛の言葉を紡ぎながらシャッターを切り続ける拓海。
パシャ、パシャ、パシャ。
従順なマゾ牝奴隷は、ご主人様の股間にそそり立つ硬くて太い肉棒に時折もの欲しげにチラチラと視線を落としながら、シャッター音が静まりグショグショの割れ目の中にご褒美のそれが突き込まれる悦楽の瞬間が訪れるのを、心の奥から湧き上がる情欲に身を焦がしながらも、ただひたすらじっと待つのだった。