豪勢な懐石料理を終え、夜も更けた頃。
仲居さんが敷いていった純白の布団が、和室の闇にぼんやりと浮かび上がっている。
森の静寂が、部屋の中にも浸透していた。
「環、立て」
マスターの声に、私は浴衣を脱ぎ捨て、全裸になって畳の上に立った。
昼間の美術館で見たブロンズ像のように微動だにせず、主の視線を受け止める。
湯上がりの肌は上気し、まだほのかに硫黄の香りを漂わせていた。
「美術館の彫刻は美しかったな。だが、硬くて冷たい」
マスターは鞄から、以前見たことのある麻縄を取り出した。
ざらりとした手触りの、生成り色(ジュートカラー)の縄だ。
「俺が愛でるのは、体温を持ち、痛みを感じて震える『生きた彫刻』だ」
マスターの手により私の身体に麻縄が這わされていく。
手首を後ろ手に縛り上げられると、肩甲骨が寄せられ、自然と胸が前へと突き出された。
続いて縄は私の乳房を強調するように複雑に編み上げられていく。
亀甲縛りだ。
柔らかい乳肉に硬い麻縄が容赦なく食い込み、その圧力で乳房がいやらしい形に盛り上がる。乳首は擦れて硬く尖り、縄の隙間からあられもない姿を晒していた。
「美しいぞ、環。縄が食い込むたびに、お前のメスとしての輪郭が際立つ」
締め上げられる痛みと、観賞されているという羞恥心。
それらが混ざり合い、私の秘部は愛液で濡れそぼっていた。
私は、美しく装飾された肉人形として、畳の上に完成した。
マスターは私を布団の上に仰向けに転がした。
後ろ手に縛られているため、背中を反らせた無防備な体勢になる。
「さて、昼間はじっくり見られなかったな。……この脚を」
マスターの手が、私の太ももを撫で上げ、強引に左右へ開脚させた。
身長一六八センチの私が持つ、長くしなやかな脚。
それがM字に折り曲げられ、夜の空気に晒される。
股間の秘部は、何の遮るものもなく、マスターの目の前に展示されていた。
「素晴らしい造形だ。この脚の長さ、筋肉の筋(すじ)。そして、そこから続く濡れた秘所へのライン」
マスターは開かれた股間に顔を近づけ、指先で太ももの内側をなぞった。
さらに、スマホを取り出し、私の最も恥ずかしいアングルを撮影する。
カシャ、というシャッター音が、静寂に大きく響いた。
「見ろ。縄で縛られ、無様に股を開いた自分の姿を。どんな名画よりもいやらしく、卑猥な傑作だ」
画面に映し出されたのは、理知的な女子大生の面影など微塵もない、ただの欲情した牝犬の姿だった。
屈辱で顔が熱くなるのと同時に、子宮の奥が疼く。
「……はい、マスター。私は……あなたの、作品です……」
マスターは自身の剛直を取り出し、私の秘部へとあてがった。
「なら、仕上げだ。作者の筆を、その深淵に沈めてやろう」
ズプ、ヌゥ……。
粘着質な水音と共に、雄の質量が埋め込まれる。
私は快感と苦しさで、背中を大きく反らせて喘いだ。
マスターは私の身体に覆いかかると、唇を塞いできた。
濃厚なディープキス。
互いの舌が絡み合う。
「ん……ぅ、ちゅ、れろ……」
私の舌の銀色のピアスがマスターの歯に当たり、カチリと音を立てた。
マスターは結合したまま、私の耳元で囁いた。
「環。上と下、同時に使え。下は熱く締め上げろ。上は……その銀の玉で、冷たく転がせ」
高度な命令に、私の脳髄が痺れる。
私は意識を分割した。
下の口(膣)は、侵入してくる肉棒を逃がさないように、肉壁全体でうねり、熱く吸い付く。
上の口(口腔)は、舌を巧みに動かし、冷たく硬い銀のピアスをマスターの舌や歯茎に押し付け、転がし、金属的な刺激を与える。
上と下からの、温度差のある同時攻撃。
マスターの呼吸が荒くなり、ピストン運動が激しさを増していく。
「っ、く……! その舌とまんこ……最高に狂ってやがる……!」
パン、パン、パン!
肉と肉がぶつかり合う音が部屋に響く。
私の優等生の仮面は完全に剥がれ落ちた。
縄に食い込まれた胸を揺らし、髪を振り乱し、涎を垂らして獣のように腰を振る。
「いくぞ、環! お前の腹の中に、俺の所有物だというサインを刻んでやる!」
「あッ、あっ、だめ、壊れちゃう、奥ッ、熱いのぉぉ!!」
ドプッ、ドプ、ドクン!
最奥の子宮口をノックされ、大量の種が私の胎内に放たれた。
私は白目を剥いて痙攣し、身体の内側に広がる灼熱の刻印を全身で受け止めた。
嵐のような行為が終わり、マスターがゆっくりと抜け出した。
私の秘部からは白濁した液体が垂れ、マスターの剛直も、私の愛液と彼の欲望でぐしょぐしょに汚れている。
放心している私に、マスターは冷たく、しかし愛おしげに命じた。
「環。まだ終わっていない。綺麗にしろ」
私は朦朧とした意識のまま、縛られた身体をよじらせ、マスターの股間に顔を寄せた。
まだ熱を持ち、脈打っているその一物を丁寧に口に含む。
腫れあがった唇と舌全体を使ってこびりついた汚れを優しく舐め取る。
そして、ここでも銀の舌が働く。
舌のピアスをワイパーのように使い、カリの溝に残った精液や、裏筋の汚れを、こそぎ落とすように掬い上げるのだ。
金属の冷たさが、火照ったマスターの海綿体を鎮めるように撫でていく。
しかし、私の誤算だった。
私の舌の技術とピアスの硬質な刺激があまりにも心地よかったのだろうか。
萎えていくはずのマスターの一物は、私の口の中でビクリと跳ねると、みるみるうちに血液を集め、再び硬く、太く膨れ上がってしまったのだ。
「……ッ、環。消火するつもりが、火をつけたようだな」
マスターが、呆れたような、それでいて獰猛な笑みを浮かべて私の髪を掴む。
完全に復活し、血管を浮き上がらせて屹立する肉棒が私の頬を叩いた。
「優秀すぎる道具を持つのも考えものだ。……どうやら、箱根の夜はまだまだ終わらせてくれそうにないな?」
「ふ……はい、マスター」
私は縛られたまま、涙目で歓喜に震えて再び口を開いた。
この銀色の舌がある限り、私は今夜、一睡も許されないのだ。