ゴーン!ゴーン! ゴーン!ゴーン! ゴーン!ゴーン! ゴーン!ゴーン!
銅鑼が8回鳴らされた。参列者は壇に近寄ると二人に一言声をかけて歩み去る。
拓海と芽美も衣装を調えて壇の手前に並んで立っていて、丁寧に頭を下げてお礼を言っている。拓海は疲れきっている芽美が倒れないように、腰に手を回してしっかり抱きかかえている。芽美は甘えるように拓海に寄りかかって疲れの滲む顔に喜色を浮かべている。
参列者最後のカップルが姿を消すと、拓海は抱きかかえている芽美に話しかける。
「水上コテージに戻って一休みしたらハネムーンへ出かけよう♪」
芽美はきょとんとする。
「え、ハネムーンてどこへ?」
「無人島だよ。施設が整ったハネムーン用の。そこで本当に二人だけで過ごすんだ。『テアー』(女神)と認定された女と、その女を調教した男のカップルには様々な特典が与えられるんだよ。」
「本当?すてき♪」
「本当さ。お前が頑張ってくれたおかげだよ、 女神ヘドネー様♪」
「ありがとうございます、お世辞でも嬉しいですわ♪」
「そのセリフ、くせになっているだろう?」
「だってあれだけ何回も言わされたのだもの・・・無人島に行ったら、あの経験を忘れるくらいたくさん犯してくださいね、あなた♡」
「ああ、おまえはもう俺の所有物(もの)だからな!俺が好きなときに使ってやるから覚悟しておけよ!いや、お前は『Incontinent floozie(性欲を抑えられない格安売春婦)』だから望むところか?使ってやるたびに1円を払わないといけないな!」
「ああん、酷いことを言うご主人様!」
「ふふ、でも酷いことをする俺のことが好きなんだろう?このマゾが!」
「・・・はい、大好きですわ♡」
拓海の言葉に被虐の悦びを浮かべて、その気持ちを表現するためにキスしようとする新婚奴隷妻。
それを無粋な声が邪魔をする。
「はいはーい、そろそろ中断して、続きは帰ってから好きなだけやってもらっていいですかぁ?ここ片付けないといけないんで!」
真理愛を筆頭に、4人のサポートスタッフが生暖かい笑みを浮かべて立っていた。“悦楽の女神”となった芽美を見守るハサンとアリーの視線には強い憧憬と情欲の念がこもっているが、焦る芽美は気づかない。
「いや、これはすまん!」「あっ、ごめんなさい!」
二人はピタリと寄り添いながら、すぐにその場を後にした。
―大勢の人前でセックスしていたさっきより、今のほうが恥ずかしいのはどうしてだろう―
と二人して同じことを思いながら。