「さぁ、いよいよお待ちかねの調教の時間だぞ、メグ」
黒系色のTシャツにハーフパンツという服装で現れた陵辱者は檻の中の哀れな子羊に向かって宣言する。
「だがお前は昨日処女を喪失したばかりのウブな小娘だからな。今夜はやさしくしてやろう。今日お前がやるべきことは3つだけだ。ここでの生活ルールを覚えること。奴隷の口上を覚えること。クンニの快感を存分に味わうこと。わかったな?」
「ここでの生活ルールって?」
「まず、調教時には俺に敬語を使い、俺をご主人様と呼び、俺の命令に絶対服従するように」
「・・・わかったわ・・・いえ、かしこまりました、ご主人様。これでいいかしら?」
ここで反抗しても仕方がない、とりあえず従っておくべきと判断し、芽美は言うとおりにする。
「ふふ、ものわかりが良くてよろしい」
「それだけ・・・ですか?」
「いや、まだある。ここで『牝』として暮らすお前には遵守すべき規則がある。『移動するときは四つん這いで』『許可がない限り発言しない』『調教コマンドに従う』、この3つだ」
「前の二つはわかりますが、調教コマンドというのはなんですか?」
「houseと言ったら檻の中へ入れ、sayと言ったら奴隷の口上を言え、といったものだ。今日は他にも幾つか覚えてもらおう。come=来い、のような単語そのままの意味で使うものは一々教えないからそのつもりでいなさい」
「・・・わかりました。奴隷の口上というのは?」
「お前が調教を受ける時に唱えるご主人様である俺への挨拶だ。これを見て覚えておくように」
芽美は拓海からB5サイズの紙を渡された。そこにはこのようなセリフが印刷されている。
大好きなタクミご主人様 今日もマゾの私をお望みのままに調教してくださいませ SMセックスの快楽で ふだん上品ぶっている私にメスの自覚を叩き込んでくださいませ 淫らな私のお口・牝穴・尻穴を自由にお使いいただき 何度でも気持ち良く射精してくださいませ それが処女を捧げてマゾメス奴隷の契約を結んだ わたくし、吉野芽美の幸せでございます
読み終えた芽美はブルッと身を震わせた。もしかしたら自分はMかもしれないと思っているものの、ふだん上品で清純な振る舞いを心がけている芽美にとって、常軌を逸したこんな淫らなセリフは許容しがたいものだった。昨晩は痴態を晒してしまったようだが、それはクスリのせいであって、意識が朦朧としていた芽美にとっては夢の中の出来事に過ぎなかった。しかも身体が固定されていて、自分から積極的に何かイヤらしい行為を行なったわけではなかった。
先ほど見せられた調査報告書の内容、すなわち、マゾヒスティックで大きな性欲と好奇心を有し、極めて上質なマゾ牝奴隷に育つ優秀な素質を秘めている、との結論にしたところで、拓海がいつものようにもっともらしい理屈をつけて主張しているだけだと思っていた・・・うわべでは。
ただ、心の奥底ではT大心理学科卒の拓海が実績のある調査手法を駆使し脳波や脈拍測定という生理的データまで採って科学的に導き出した結論を完全には否定できなかった。奴隷口上を読んで身を震わせたのも、嫌悪感によるものではなく、Mの自覚がある心の琴線に触れたからである。
「こ、こんな変態的なセ、セリフ、言えるわけ、な、ないじゃない!」
ー日曜日の夜に解放されるまでは、とりあえず従順なふりをしよう、セックスもしてしまったことだし、ある程度のことは我慢してー
こんな方針を建てていたことを動揺のあまりすっかり忘れてしまった芽美は、羞恥と怒りから思わず否定のセリフを叫んでしまった。ろれつが上手く回らないほど感情が高ぶっていた。
しかし男は芽美の反抗を待っていたかのように、酷薄な笑みを浮かべて言う。
「命令に逆らったな。これまで随分甘やかしてきたが、お前にはそろそろここでの立場というやつを身体にしっかりと叩き込む必要がありそうだ。マゾ牝奴隷の立場をな」
「あっ!申し訳ございません・・・ご主人様!どうか、お許しくださいませ!」
失策に気づいた芽美は必死にお詫びするが、男は芽美の鎖をつかむと、come!と命令しながら調教器具のほうへ強引に引っ張る。哀れなセックス奴隷は首輪で喉を絞められ、その苦しい状態のまま四つん這いになることもできずに、恐怖に駆られてごめんなさい、許して、と叫びながら黒いゴム床の上をずるずると引きずられていった。
檻の中から調教部屋の中央に位置する杭の先まで数メートル引きずられたところで、芽美の肉体は拘束器具を用いて床に固定される。
右頬を床につけ顔を鏡壁面に向けさせられているが、目にはアイマスクがかけられている。両手は左右に伸ばされた状態で床に固定されており、胸も床に押し付けられた状態だ。両足も肩幅より広めに開かれた状態で膝と足首の二箇所で床に固定されている。ただ尻だけは床から30センチほど持ち上げられ天井に突き出された状態で固定されている。
「右か左か選べ」
「えっ?・・・」
拓海の命令が下るが芽美は意味がわからず困惑するばかりだ。
「では私が選んでやろう」
ヒュッという風切り音とともに芽美の尻を鋭い痛みが襲う。
ビシーッ!
「ヒィッ!」 言葉にならない奇声をあげる芽美を無視して、それは10回続けられる。 ビシッ!、ビシッ!、ビシッ!・・・・・・・・・ビシッ!、ビシッ! そのたびに芽美も痛みのあまり奇声を上げ続ける。
「ヒィッ!、ヒィッ!、ヒィッ!・・・・・・・・・ヒィッ!、ヒィッ!」
男の声がする。
「メグ、お前が選びたくないようだったから俺が選んでやったぞ。俺は今、右手か左手のどちらかに鞭を持っている。お前が選んだ手に鞭があればそれでお前の尻を10回叩く、今やったように。選んだ手に鞭を持っていなければ手のひらで尻を10回叩く、いわゆるスパンキングというやつだ。このゲームはお前が奴隷の口上を完全に覚えるまで続けられる。もう一回練習したら本番に入るぞ。さぁ選べ、右か左か」
こんな痛くて怖くて惨めな経験は芽美の25年間の人生で初めてだった。どちらの手に鞭があるのか必死に気配を探るがわからない。だから左手のほうがまだ痛くないかも、という理由で左を選んでみる。
「・・・左」
ビシーッ!
「ヒィッ!」
鞭だった。先ほど同じことが繰り返された。いや先程より力が入っていて、痛みはむしろ増していた。
「それではゲームの開始だ。まず1分間やるから頑張って暗記するんだな」
男は芽美のアイマスクをはずし、奴隷口上が書かれた紙を横にかざしながらストップウォッチを押す。芽美は状況に対応できないまま、あっという間に1分がすぎ、アイマスクがつけられゲームが再開される。
「奴隷の口上を言ってみろ」
「・・・・・」
「選べ」
「・・・・右」
パシィッ!手のひらで尻が叩かれる。鞭の痛みより遥かにマシだった。芽美は黙ったまま10回のスパンキングに耐える。
「次は2分にしてやる」
芽美は眼前の紙を必死に覗き込む。とりあえず目を通しただけで次のゲームが始まる。
「言ってみろ」
「え、えっと・・・・・」
「選べ」
「・・・・・左」
ビシーッ!
「ヒィッ!」 鞭だった。先ほど同じことが繰り返される。痛みに耐え切れず芽美の目から涙がこぼれ始める。
「次は3分」
芽美は眼前の紙を必死に覗き込む。とりあえず1行だけでも覚えよう。
「言ってみろ」
「大好きなご主人様 今日も、・・・」
「選べ」
「・・・右」
パシィッ。手のひらで尻が叩かれる。スパンキングだ。芽美はほっとして10回の尻叩きを甘受する。鞭の痛みに比べたら、まるで優しくお尻を愛撫されているようなものだったから。
「4分」
芽美は先ほどと同じことを繰り返す。
「言ってみろ」
「大好きなご主人様 今日もメグミをお望みのままに調教・・・・・」
「選べ」
「・・・右」
パシィッ。手のひらで尻が叩かれる。またスパンキングだ。芽美はほっとする一方、これを甘美な痛みと感じ始めていた。拓海は鞭をずっと左手に持ち続けているような気がする。
・
・
・
・
「次は8分だ」
芽美はずっと右を選び拓海のスパンキングを受け続けていた。軽快なリズムで小気味よい音を立てて行なわれるその行為には、罰として痛みを与えるという意図は明らかに薄かった。この頃には芽美の意識の大半はセリフを覚えることよりも、スパンキングからいかに快感を貪るかに向けられるようになっていた。
パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ。
「アンッ♡、アンッ♡、アンッ♡、アンッ♡、アンッ♡、アンッ♡、アンッ♡、アンッ♡、アンッ♡、アンッ♡」
芽美の声も、痛みに耐え切れずに漏れる悲痛な叫びではなく、快感から漏れる喘ぎに変わりつつある。
「次は9分だが・・・これでは罰にならないから、そろそろ鞭を持つ手を変えるとするか」
そういって芽美を脅す拓海に対して、芽美は今度もあえて右手を選ぶことにする。罰といいながらも、ずっと甘美な痛みを与えてくれ続けた拓海ご主人様を信じて。
パシッ。
ースパンキングだわ!ー
「アアンッ!♡」
このとき、芽美は拓海と心がつながっているように気がして、嬌声をいっそう高めてしまう。すでに股間が濡れそぼっている自覚はあったが、今回はこれまでにもまして、叩かれるたびに膣壁から大量の愛液を放出しているように感じた。
パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ、パシッ。
「アン♡、アン♡、アン♡、アン♡、アン♡、アン♡、アン♡、アン♡、アン♡、アン♡」
「スパンキングだけでこんなに感じるとは、メグ、お前はやはり真性のマゾだったんだな」
アイマスクが外され、次の10分間を覚悟した芽美に対し、拓海はまるで賞賛するかのように感歎の気持ちを込めてこう言うと、毛を剃られてパイパンとなっている芽美の股間を右手の中指でぬるりと撫でて愛液をすくい取り、そのまま舐めた。
「お前の愛液は、甘酸っぱくてなかなかの美味だぞ」
その様子を鏡で見ていた芽美は褒められたことへの照れと、自分の愛液を味見されたことへの恥ずかしさから赤面して、そんなことあり・・・、と言いかけるが、自分の立場を思い出して言い直す。
「お褒めいただき、ありがとうございます、ご主人様」
「いい子だ。このままいくら続けても奴隷の挨拶を覚えそうもないから、やり方を変えよう。でも俺の命令に従えなかった罰はしっかり受けなければいないよ。わかってくれるね、マゾ牝奴隷メグ?」
正しい返答をしたことへのご褒美として芽美の頭を撫でながらも、拓海は厳しく罰を宣言する。
芽美は戸惑っていた。痛いはずのスパンキングで感じてしまい、口上を覚えることよりも快楽を貪ることを優先してしまった自分。もしかして本当にマゾ奴隷の素質があるのかもしれない。それを確かめてみようと、思わずこんなセリフを口にしてしまう。
「はい、ご主人様。言うことを聞かないマゾ牝奴隷の私にふさわしい、正しい罰をお与えくださいませ。ご主人様のお手ではなく、鞭で思い切り叩いて厳しい躾をしてくださいませ」
拓海はその返答に不意を突かれたような表情を浮かべると、こう宣言する。
「よろしい。アイマスクはしないから、鞭で躾けられる鏡の中の自分の姿を目に焼き付けなさい」
そうして行なわれた拓海の鞭打ちには一切の遠慮がなかった。高く掲げたまま固定されている尻を拓海が九尾の鞭でビシッ、ビシッと大きな音を立てて叩き、それに呼応して悲鳴を上げ鼻水を垂らしながら咽び泣く鏡の中の自分の姿を、芽美は言いつけ通りしっかりと目に焼き付けながら心中で呟く。
―悪いことをした自分を懸命に躾けようとしてくれるご主人様の鞭の痛みに愛を感じてしまうなんて、これがマゾとして調教されるということなのかな?…わたしはやっぱりMの素質があるのかもしれないわ…―
始めの数回の鞭打ちで一度乾いた股間は、最後の鞭打ちが終わったときには、再び瑞々しい潤いを湛えていた。そればかりか、薄い桃色をした可愛らしい乳首がその存在を主張するかのようにピンと立ってお碗型の乳房から突き出ていた。芽美のマゾの素質は着実に開花しつつあった。