~interlude3~戸惑いの奉仕

「セックス合宿」を終えた後、私は仕事のリカバリー、両親への説明、友人への連絡、引越しの片付けで目が回るほど忙しかった。

 4月6日の水曜日に1週間ぶりに出勤するときは、年度初めの大事な時期に土日をはさんで5日間も急に休んだことで、先輩達にどんな意地悪な対応をされるかと思うと胃がシクシクと痛んだ。

 ところが、実際は全くそんな事態は起こらなかった。なんと、妹の琴美がしっかりと対応してくれていたらしい。落ち着いたら、この姉思いの優秀な妹を彼女の大好きな千葉のアミューズメントパークに連れていって厚くお礼をしなくてはなるまい。

 琴美は、まず木曜日の朝、私達と別れた後すぐに弁護士さんからの電話要請を受けて、「姉がマンションの玄関を入ったところでストーカーに襲われ殴られた。事件処理と精神的なショックからの回復のため数日間休むことになりそうだ」という電話を保育園に入れた。私が室内でレイプされそうになったことは隠して。
 さらに改めて金曜日の夜、姉が忙しい時期に休んで職場の方々に迷惑をかけることへのお詫びの菓子折りを持って、弁護士さんと一緒に園長さんの所へ行き、事情説明と謝罪をしてくれたそうだ。

 だから出社した私は、むしろ同情と好奇の視線を集めることになった。休んでいる間すぐに事件のことを忘れて拓海さんとのセックスに没頭していたのだから、同情されるのはとても恥ずかしかった。年度初めで仕事が山積みなこともあって無駄話をしている暇がなく助かったが、余裕が出てきたときが今から思いやられる。

 もちろん私自身も、水木と、先輩達へのお詫びとして仕事を引き受けて残業したり、帰宅後に書類作成をしたり、土曜日のシフトを交代して欲しそうな性格のキツい先輩に空気を呼んで自分から交代を申し出たりと、悪化した自己イメージの回復にせっせと励んだ。
 土曜日のシフト交代は悩んだけれど、どのみち日曜日は両親に会って事件のことを説明しなければならなかったから。それで週末は完全に拓海さんの所へは行けなくなった。どうしよう。
 
 金曜日、一日中さんざん悩んで、仕事で凡ミスをしまくって迷惑をかけたあげく、夕方、残業の前に恐る恐る拓海さんにSNSでメッセージを送った。ちなみに登録名は私が『マゾ牝奴隷メグ』、拓海さんが『愛しのTakumiご主人様♡』だ。もちろん登録したのは私ではない。

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     愛しのTakumiご主人様♡

                <拓海ご主人様?
なんだ?> 
                <あの~
用件を言え>
                <明日と明後日なんですけど
来なくていいぞ>
                <え?いいんですか??
忙しいだろうからな>
                 <うん、でも・・・・・
でも?>
                 <ほんとにいいんですか?
なんだメグは俺に会いたいのか?>
                 <いえ、そうじゃなくて
ああ俺に犯されたいんだな>
                 <違います!
水曜日まで我慢しろ>
                 <ワナじゃないですよね?
ワナ?>
                 <行かないとオシオキとか
それはない>
                 <ならどうして?
契約書を読め>
                 <はい?
お前の生活を壊すことはしない>
                 <ああ、そんな記述もあったような?
契約は守る>
                 <契約ならお礼は言いませんよ?
お礼は不要だが謝罪は欲しい>
                 <え、なんでですか!?
連絡が遅すぎるだろうが!>
                 <ですよね~(汗)
社会人として恥ずかしいぞ>
                 <そうですね、ごめんなさい
というわけでオシオキ決定>
                 <え~、まだ社会人2年目ですよう
そうか、なら仕方ない>
                 <やった!
そのかわり>
                 <・・・・なんですか?
日曜の夜オナニーしろ>
                 <イヤって言ったら?
ナターシャにオシオキさせる>
                 <ええ~っ!
する前に必ず連絡しろ>
WEBカメラで鑑賞させてもらう>
                 <わかりましたっ!
                 <ご主人様のヘンタイ!
そういうな>
お前を抱きたくてたまらないんだ>
だから頼むよメグ>
                 <・・・もう、しかたないですね
いい子だ>
アナル開発もしっかりな>
                 <もう!
–———————————————————————–       と、いうことになってしまった、まったく・・・・。
  
 仕事の合間に、未読無視状態だった友人達へ返信。面倒なのでスマホが故障したことにして謝っておいた。返事を保留にしていたバイト仲間からの旅行の誘いがまた来ていた。この感じだと旅行も許してもらえそうなので、今度は前向きな返事をする。日程が決まり次第、拓海さんに話さないと。また「遅い」って怒られちゃうもの。 

 日曜日。父と琴美と私の3人でいつものお寿司屋さんで早めに夕食をとった後、実家で今回の件について話をした。琴美から正確な事実関係を聞いて、私と電話で話して無事なことを知っていても、実際に私の健康な姿を見て、私から話を詳しく聞いて、父はようやく安心できたようにみえた。

 母は趣味のソーシャルダンスのイベントに参加していたため帰宅が遅く玄関ですれ違うだけになってしまった。一言、「元気そうで安心したわ」と言われた。
 物心ついた頃から、なにかと大げさな父に比べて母は私に対しては冷静だった。琴美が生まれてからは特にその傾向が強まったように思う。

 明るく社交的な母と琴美は見た目も性格もよく似ている。いっぽうの私は生真面目で慎重な性格こそ父に似ているが、外見は両親にあまり似ていない。特に父はともかく、母とは全くといっていいほど似ていない。そのせいか私は家族の中で孤立しがちだったが、人懐こい妹がそんな私に気をつかって両親との潤滑油となってくれていた。本当によくできた妹だ。
 
 事件の詳細を説明する上で、私を助けてくれて、事後処理の弁護士を紹介してくれて、新しい部屋まで用意してくれた拓海さんのことを話さないわけにはいかなかった。「昨年近所の中華料理屋さんで知り合った年上のバツイチ男性」で「時々食事をしたりする関係」というところまでは、そうとう胡散臭い人物と思っていたようだ。

 しかしその後、「T大を卒業して大手広告代理店D通で働いた後、独立」「奥さんと子どもを事故で亡くして今は独身」「今回の事件では色々と助けられた」というと警戒が解けたのか、好意的な相槌を打つようになった。
 地方大学卒の中堅企業のサラリーマンである父にとっては娘が助けられたことはもちろん、名門大学と大手企業のブランドの威光はかなり眩しいらしく、お礼を言いたいから一度連れて来くようにと言われた。

 遠まわしに「付き合っているのか」「肉体関係はあるのか」と探りを入れられた。あらかじめ拓海さんに言い含められていたとおり、「彼は私に好意を抱いているようだけれど、私にとっての彼は仕事の延長線上の友人」「そういう相手としてみるには年齢が離れすぎている」「ただ、気は合うことは事実」と答えておいた。

 彼は私に好意を抱いているようだ、なんて自意識過剰の痛い女ぽくて言いたくなかったけれど、「言わないと俺が芽美に深入りする理由がなくて変に思われるから」ということで仕方なく。ぼそぼそと自身なさげに言ったら琴美から「喪女はこれだからな~。お姉ちゃんはもっと自信持っていいんだよ!」と呆れ顔で諭されてしまった。そんなこと言われても、ねぇ?

 おそらく父は、私と拓海さんが交際の一歩手前で、もしかしたらもう肉体関係くらいはあるかもしれないと思ったのではないか。「お姉ちゃんにも長い冬が終わってやっと春が来そうなんだよ」とか「お赤飯炊かないと」とか軽口を叩いている琴美にいちいちうなづいていたのだから。拓海さんと私の本当の関係を知ったら、真面目な父は卒倒してしまうにちがいない。絶対に秘密にしなければ。

 月曜日の明日も仕事だし、引っ越し先は実家から遠くなったから、大河ドラマが終わったあたりで早めに帰路についた。帰宅してからやるべきこともあるし。

 襲われた部屋の代わりに拓海さんが契約してくれた部屋は、ガードマン兼管理員が24時間在中しているセキュリティのしっかりした女性専用マンション。築年数の新しい5階建てで、4階の410号室が私の部屋だ。

 マンションは拓海さんの最寄り駅であるK駅より二駅ほど都内に近いA駅から徒歩10分の隅田川のほとりに建てられている。つまり職場から遠くなり電車通勤になったが、拓海さんの住居からは車で10分程度、時間と体力に余裕があれば散歩気分で歩けるほど近くに住まわされたということだ。

 といっても、通勤にも都内に出るにも便利なロケーションに建つマンションの快適な一室に住まわせてもらって、とても感謝している。自転車通勤は、雨のときなど想像以上に大変だったから、下り方面でそれほど混まない電車で徒歩含めて約40分の通勤時間なら何の問題もない。職場に近すぎると急に呼び出されたりすることもなくなる。

 室内は独身者用の1LDKで、これまで住んでいたバブル期に建てられた典型的な1Rより広く、遥かに住みやすい。
 バス・トイレ別で独立洗面台となり、浴槽にゆったりと浸かれ洗面台でしっかりと髪を乾かしたりメイクしたりできる。
 キッチンスペースが広くなって料理しやすい。収納が増え、物を出し放しにせず部屋をきれいに維持できる。

 なにより一部屋を寝室に使えるため、居間に寝具を置かないで広く使えるのが嬉しい。角部屋で二面採光の広い居間は明るく、ベランダから見える景色は隅田川と遠くのスカイツリーだから洗濯物を他人に見られることはなく下着を安心して干せる・・・のだが・・・。

 引越しの荷物運びは、業者の手配から荷造りから荷降ろし後の設置から全てを拓海さんが行ない、私は全く関与していない。食器、洋服・靴、本、仕事関係の書類、寝具、テーブル、本棚、等々ほぼ全てがきちんと運ばれてきているのに、下着だけは一新されていたのだ。

 ショーツは若干のサニタリー物を除き全てGストリング系で統一された。ブラジャーはハーフカップを主とし三角ブラ、チューブトップ、ホルターネックなども揃えられている。色は、白・黒・赤・紫の四種類。他にベビードールやテディ、ビスチェ、オープンショーツなどのセクシーランジェリーが多数ある。
 私にはハードルの高いものばかりだが、ショーツを履けるようになっただけでも喜ぶべきだろう。お尻にアナルプラグが嵌められているし、他人に見られたら自殺も厭わないような恥ずかしいシーンを撮影されてしまった今、貞操帯はもはや不要だろうということで、装着しなくてよくなった。
 ここ数日、Gストリングだけで通勤しているが、貞操帯の厚いガードから解放された違和感、すなわち何も履いていないような気恥ずかしさに慣れるには時間がかかりそう。
 
 居間の家具のレイアウトは大雑把で、窓のカーテン、床のカーペットもまだ設置されていない。私の好きにしていいそうだ。時間ができたら買いに行こう。楽しみ。

 寝室のほうはレイアウトがきっちり決まっていた。楽器演奏用途として想定された部屋らしく防音設計がなされ、壁は全面打ち放しコンクリートで窓がなく、小さな換気口があるだけ。床には黒いゴムマットが敷かれ、奥の壁に大きめの鏡が設置されている。

 左側の壁はところどころ凹んで物が置けるようになっていて、WEBカメラやモニター、スピーカーなどが置かれている。それらの機器と対面する右側の壁の手前、リビングに続くドアの近くには、小さな赤い一人掛けソファ。その脇に小さな黒い棚があり、引き出しの中には下着のほかに様々な「大人の道具」が入れられている。灯りも薄暗い間接照明のみで、調教部屋を彷彿とさせる。

 右側の壁にそってセミダブルのベッドマットが置かれている。シーツと布団・枕カバーが濃い赤で統一されているせいか、ラブホテルの一室といったほうが近いかもしれない。

 こんな部屋で眠れるのかと思ったが、真っ暗で静かな部屋は、遮光カーテンの隙間から光が漏れ、薄い壁から外の騒音と隣室の生活音が聞こえた以前の部屋より遥かに熟睡できる。
 エアコンも効きがよいというか、外気温の影響を受けにくく温度が大きく上下しないから作動も安定していて、快適な温度湿度を静かに維持してくれる。

 家賃は高いに決まっている。前の住居の3倍以上ありそうで、払えるか心配で拓海さんに尋ねても教えてはもらえず、これまでと同額を振り込んでくれればいいと言われた。差額は拓海さんが振り込むそうだ。
 差額は身体で払ってもらうから、愛人みたいだね、いやセックス奴隷だったねとつまらない冗談を言われたあと、真面目な顔で幾つかの条件をつけられた。

 拓海さんが合鍵を持ち、いつでも事前連絡なしに訪問することを受け入れる。そのために家族や友人を招くことは極力避け、招く際は必ず拓海さんに事前に許可をとる。これは、まあ、そうだろうなという感じ。

 起きた時、帰宅した時、寝る時に一言、SNSか電話で拓海さんに連絡する。どうしてと聞いたら、「安否確認のためだよ、襲われて心配だから」と言われた。そう言われてしまったら面倒だと思っても断れない・・・・嬉しくなくもないし。

 それから―こういったことも、まあ、予期してたことだけれど―帰宅したら自分でお浣腸をしてお尻の穴の中をきれいにする。お風呂上りには香油マッサージをする。寝る時には裸で首輪をつける。最初は帰宅したらすぐに裸になって首輪をつけろと言われたけれど、抗議したら寝る時だけにしてくれた。今は抗議されるのを見越してハードルをあげていたんじゃないかと疑ってるけど一度承諾してしまったから後のまつり。
 寝室の扉を開けると、その脇の壁に拓海さんの家にあるのと同じ赤い首輪が掛けられている。鎖はついていないが、つけることは可能だ。

 日曜日の今夜も、午後11時になった今から、お風呂を兼ねて拓海さんの命令をこなし始める。深夜0時ごろには寝ようと決めているから。

 脱衣所で服を脱ぎアナルプラグをはずし、バスタブの給湯スウィッチを入れると寝室へ入る。

 黒い棚からイチジク浣腸を取り出し、WEBカメラに映る床に足を開いて座り、モニターに自分の姿が映っていることを確認したあと、自分でそれをお尻の穴に用いる。同じ映像が拓海さんの居間でも録画で見れるようになっていて、私が日課をきちんとこなしているか時々チェックするそうだ。

 すぐにトイレに移動し、時間をかけて、催してくる便意を完全に解消させると、お風呂に移動し、お尻の穴と使用済みアナルプラグをしっかりと洗浄。あとは普通に頭と体を洗い、ゆったりとお湯に浸かってリラックス。お風呂にも窓があるのが嬉しい。

 体を拭き髪を乾かしたら裸のまま寝室へ。首輪をつけ、音楽をかけ、香油を取り出しWEBカメラの前に座る。音楽はジムノペティ。

 準備ができたところで、拓海さんに就寝前の連絡を入れる。連絡がとれたらヘッドフォンマイクをつけて、マッサージのアドバイスを受けながら自分で自分の身体に香油マッサージを施す。

 手の指先から肩、足の指先から太ももの付け根、両手両足が終わるとうつぶせになって手の届く範囲で背中。そしてあおむけになり、お腹、胸、脚を上げお尻、そして最後に乳房と陰部。

 あおむけになる頃には拓海さんのアドバイスは「nubile cunt・・・, luscious cunt・・・, sopping cunty・・・,rammy cunty・・・」というささやきに変わり、私はその声をBGMに熱い吐息を吐きながら性感帯を弄っている。
 いつも、この頃にはマッサージは完全にオナニーになってしまう。だから拓海さんが私に日曜日の夜オナニーしろと命じたのは、ただその事実にご主人様の命令だというお墨付きを与えただけ。そして、この頃には私の頭の中は性欲と隷従心で霞がかったようになってしまっている。

 私のオナニーショーをカメラの向こう側で鑑賞している拓海ご主人様から時折指示がとぶ。
―メグ、もっと乳首もマッサージしないとコリがとれないよ―
―はい、ご主人さま―

 私はご主人様に見せ付けるように、勃起している両乳首を人差し指と親指で摘んでコリコリする。喘ぎ声が漏れる。
―アッ、アアンッ♡―

―股をもっと開いて、陰唇をよく揉んであげなさい―
 控えめに開いていた脚を限界まで広げて両手を陰唇に当てグニュグニュと揉みほぐす。
―はい・・・・アーン、アンアン♡―

―クリトリスがマッサージして欲しそうに顔を出しているよ?―
―そ、そうかな―
 敏感な突起に中指を伸ばし、優しくゆるゆると擦る。
―イ、イイッ!アアーン♡―

―オマンコの中はマッサージする必要ないのかな?―
―ううん、ご主人様の、アレをお迎えする、大事な、ところだから、
 ちゃんと、しないと、いけないと、おもいます―
―そうだね、でもいちおう必要かチェックするからみせてごらん?―
 ヴァギナをVサインするように左手の指で広げ、右手でペンライトを当てる。

―ご主人様、ごらんになれますか?―
―うん、良く見える、ぐしょ濡れだよメグ・・・・すごくイヤらしいよ―
 その言葉に反応し膣内からさらに蜜が湧いてきてしまう。
―アアン♡―

―マッサージで感じているのかな?―
―メグ、感じてなんかいません・・・・香油が光ってるだけなの・・・・―
―そうか、ならしっかりとマッサージないといけないな、これから使うから―
―え、どういう意味ですかぁ、ご主人様?―

 拓海ご主人様はそれには答えず、ただ私にこう命じる。
―オマンコの中もしっかりとほぐして、ぐしょぬれにしておきなさい、メグ―
―はい、ご主人様♡―

 ヘッドフォンからは「nubile cunt・・luscious cunt・・sopping cunty・・rammy cunty・・」という呟きがやや大きな音で繰り返されるだけになった。同じ音量・トーンということは録音されたもののようだ。

 私はご主人様の命令に忠実に従おうと、右手の中指を膣内に挿入しGスポットを刺激し左手で乳房を揉みしだいて激しいオナニーにふける。ピチャピチャ、ピチャピチャと愛液がかき回される音を次第に大きくなる私の嬌声がかき消していく。

「ア、アン♡」
「アーン、アーン♡」
「イイ、イイの、気持ちイイの♡」
「たくみ、ご主人さまぁ、メグ気持ちいいのぉ♡」
「ご主人様に教えていただいたマッサージオナニー、すっごくいいのぉ♡」

―これからアナルセックスでもイケるように開発してやるからな―
 ご主人様の宣言を思い出しながら、左手の指でアナルを弄る。
「そんなの無理ですぅ、ご主人さまぁっ♡」
 口でそんなことを言いながらも、心は妖しい期待にときめいてしまう。
「そんなのダメ、ダメなのに・・・・でもきっと・・・・アアン、アアン、アアンッ!」

 頭の中をこれまでの淫靡な体験がフラッシュバックする。
 固定されて処女を奪われた映像、お風呂場での剃毛、お酒を飲みながらのセックス、寝室での恋人同士のような甘い交わり、調教部屋で様々な体験―奴隷の口上を暗記させられこと、フェラチオの訓練、スパンキング・鞭・浣腸体験、正常位・騎乗位・後背位で何度も交わったこと、そして何度もイカせてもらったこと。

 それらの甘美で被虐的な記憶で官能の炎がいっそう燃え上がって、爪が短く整えられた中指を拓海ご主人様のペニスに見立てて、ヴァギナを激しく出入りさせる。
 ジュブッ、ジュブッ、ジュブッ、ジュブッ!
「アン!、アン!アンッ!、アアン!アーン!♡」

 でも、硬さも、太さも、勢いも、逞しさも、何もかもがもの足りず欲求不満が募るだけ。生理が近いからだろうか。それにしてもオナニーでこんなに淫らな気持ちになってしまうなんて、今までの自分からは想像もつかない。ご主人様のせいだ。拓海ご主人様が私にセックスの悦びを教えこんだからだ。だからご主人様は責任をとって、私の性欲をちゃんと満たさなくちゃいけないの。

 肉欲の塊となったわたしは目を閉じ、寝室のドアの方向に尻を掲げて四つん這いになり、ご主人様の逞しいペニスでヴァギナを突かれている自分を想像しながら、大声で叫び、請い、願う。
「ご主人さまぁ♡」
「たくみごしゅじんさまぁ♡」
「メグを犯して♡」
「ごしゅじんさまの、ふとくて、かたくて、たくましい、にくぼうで♡」
「どれいのオマンコ、じゆうにつかって♡」
「きもちよく、しゃせいして♡」
「オンナのよろこび、あたえてください♡」
「それが、マゾメスどれいの、うがき芽美の、しあわせなのっ!」

 叫び終わった直後。
 カチャリ。
 ドアが開く音が聞こえた。そして。

 ズブゥゥゥッ!
 蜜を垂れ流しているヴァギナが熱く逞しく懐かしい形状のモノで押し開かれ、わたしの奥に力強く分け入ってくるのを感じた。待ちに待ったその感触と、レイプされているような感覚に、あっという間に軽い絶頂に導かれる。
「アアアンッ!♥」

 目を開けると拓海ご主人様の顔が見えた。来てくれるような気はしてたけど、この前のこともあるから目を瞑って待つのはちょっと怖かった。でも嬉しい♡

「待たせたな、メグ!」
「ご主人さま♡、来てく・・ムグッ?」

 来てくれると思ってました、と言おうとした途中、裸のご主人様が体位を対面座位に変え、しっかりと抱きしめられキスで口を塞がれた。ご主人様だとわかってほっとする。両手両足を拓海さんの頭と腰にぎゅっと絡めて情熱的なキスに応える。身体が汗に濡れ男臭い匂いが鼻をつくが不快ではない。急いできてくれたってことだから。心の中でつぶやく。
―ありがとうございます、拓海ご主人さま♡―

 膣内の太くて硬いペニスに歓迎の愛液のシャワーを浴びせ、ゆるゆると蠢く肉襞でもてなしながら、ご主人様の長い舌が口腔内を蹂躙するに任せる。私の肉体に興奮していることが凄く嬉しくて、私もますます欲情してしまう。

 送り込まれてくる唾液を飲み込むと、満足したのか、ようやく舌を引き口を離す。そのお礼に唇をついばむようにチュッチュとキスをして口を合わせ、舌を侵入させてご主人様の口内を愛撫する。上手く口内の性感帯をつけたときに膣内のペニスがピクリと反応するのが楽しい。息苦しくなったところで舌を引っ込め、顔を少し離す。

「ごしゅじんさまがいらっしゃるなんて、ぜんぜん気がつきませんでしたぁ。びっくりさせないでくださいよ、もう~」
 肉壷での肉棒接待を続けながら、通常よりちょっと高めな舌足らずの甘え声で頬を膨らませて可愛らしく抗議する。

 セックスをしているときの私は恥ずかしいほど甘えん坊だ。侮られやすい外見なので普段クールに大人っぽくみせようとしている反動がきて、地が出てしまう。ご主人様がこのギャップを気に入っていて気を抜いている面もあるけれど。

「ヘッドフォンをして『マッサージ』に夢中だったうえに、大声で叫んでいたからドアを開けたりする音が聞こえなかったんじゃないのかな?目まで閉じていたようだし?」

 そのとおり。ドアの音は聞こえたけど、ご主人様を想ってのオナニーに没頭していたの。でもここは建前を通すのが奴隷の務めだわ。
「だって、ご主人様が教えてくださった『マッサージ』、とっても素敵だからぁ。」

 ご主人様の顔を流れる汗がひとしずく、私の口元にぽとりと垂れ落ちた。舌を伸ばして舐めてみる、塩辛い、でも美味しい。顔を少し上げてご主人様の頬をつたう汗をぺろぺろと舐め取るヘンタイな私。でもご主人様も嬉しそうだからいいの。

「『マッサージ』はもう終わったのかい?」
「だいたい終わったわ。でもまだご主人様の『専用のお道具』がないと上手くできない箇所が残っているの。」
「ならもう終わりにする?それともそこも『マッサージ』したほうがいいかい?」
「お願いします、ご主人様。だってそこが一番のポイントだもの。」
「可愛い牝奴隷のお望みとあれば喜んで。お好みの強さにするけれど希望はある?」

 やさしく、と言おうとして私は考える。セックス合宿でご主人様は私が気持ちよくなることを優先して何度もイかせてくれた。たまにはご主人様にそういう配慮ぬきに気持ちよくなってもらいたい。
 だって、そもそもご主人様に自由に使っていただいて気持ちよく射精していただくことがマゾ牝奴隷の私の務めなのだから。
 それに、セックス合宿を終えて、たくさんセックスをして絶頂を覚えた身体が変わったかどうかを確かめたかった。

 天蓋突きベッドでのセックスの痛みは忘れていないが、勇気を出してこうお願いする。
「はい、『専用のお道具』をご主人様の思いのままに使ってメグのアソコを強めに『マッサージ』してくださいませ。」

「『マッサージ』に慣れないお前にはまだ強力すぎて痛いかもしれないぞ?」
 私の身を案じてくださるご主人様にしっかりと目を合わせると、にっこりと笑って言う。
「ご主人様の『マッサージ』にもだいぶ慣れてきたからきっと大丈夫よ。それに・・・」
 続きを言うのは恥ずかしくて目を逸らす。顔が赤くなるのを感じる。

「ご主人様に自由に使っていただいて気持ちよく射精していただくことが、マゾ牝奴隷の幸せですもの。少々の痛みも今ならきっと快楽に変えられる気がするの・・・・」
 自分の発言で昂ぶる感情を持て余して、潤んだ瞳でご主人様を見つめ直し、濡れた唇の隙間から誘惑の甘い溜息を吐く。
「だから、おねがいしますぅ、ごしゅじんさまぁ・・・はぁ♡」

「ふふ、お前のマゾ牝奴隷化は順調に進んでいるようだな!」
 ご主人様の瞳の中の獣欲の炎が強まって、私の頭を床につけて正常位になると、停止していた腰をゆっくりと動かしはじめる。
 グシャッ・・・・・グシャッ・・・・・グシャッ。

 わたしはご主人様が腰を振りやすいように、巻きつけていた脚を下ろし、頭の後ろに回していた手を軽く背中に添え直す。一緒に夕飯を食べた娘がその数時間後にセックスしていると知ったら父はどう思うだろうか?恋人と婚前交渉に励むふしだらな娘? ごめんなさいパパ、芽美は恋人じゃなくて、もっと淫らなマゾ牝奴隷なの。

 グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ。
 天蓋付きベッドでのときと同様、なんの遠慮もなく私の中をえぐるストローク。

 グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ。
 カリで襞を擦ろうとか、Gスポットを突こうとか、私を気持ちよくさせることはみじんも意識してなさそうな、ただ強く押し入り、引いては突き入れるだけの利己的なピストン運動。ご主人様の表情はとても満足そうだ。

 グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ、グシャッ。
 レイプされているときってこんな感じなのかな、と思えるその暴力的なストロークは、予想どおり多少の痛みをともなうものだ。ただこれも予想どおり、私はそれを気持ちよく受け止めてしまっている。強い男に屈服し、支配され、性処理の道具として思いのままに使われている。それが、とっても・・・・・。

「ああっ!ああっ!ああン!イイ!イイッ、きもちいいですっ!私のご主人さまっ!♡」
 ご主人様に身を捧げる悦びの嬌声をうけて、速さと激しさを増すストローク。

 グシャッ!グシャッ!グシャッ!
 グシャッ!グシャッ!グシャッ!
「アッ!アッ!アッ!」
「アッ!アッ!アッ!」
 ただ乱暴なだけ・・・・なのに、どうしてこんなにイイの♡

「気持ちいいぞ、芽美!お前はどうだ?」
「わたしも、すごく、イイっ!♡」
「どうしてかわかるかっ?」
 答えは明白だ。

「メグのオマンコが、ご主人様の肉棒に、慣れちゃったからっ!」
「それだけかっ?」
 もちろんそれだけじゃないの♡

「この先に、絶頂の幸せがあることを、身体が覚えちゃったからっ・・それにっ!」
「なんだ?」
「わたし、マゾだからっ!たくみごしゅじんさまにっ、じぶんのからだをつかわれて、きもちよくなってくださってるとおもうとっ、うれしくて、しあわせになっちゃうっ!♡」
 とうとう自分がマゾであることをはっきりと認めてしまった。心の奥底から被虐の昂ぶりが湧き出して身体がブルブル震えてしまう。

「そうだ!お前はマゾだ!俺にメスとして飼われ、俺に奴隷奉仕するマゾ牝奴隷だ!」
「アーン、そうですぅ、めぐは、たくみごしゅじんさまのぉ、マゾめすどえいなのぉ♡」
 興奮しすぎて舌がまわらない。でも気持ちよすぎて死んじゃいそう♡

 ご主人様の剛直が容赦なく私の秘裂に叩きこまれる。
 グシャッ!グシャッ!グシャッ!
「イイっ、イイっ、すごくイイーッ♡」
 ああーん、もういっちゃいそう、でもひとりでいくのはいや、ご主人様もいっしょがいいの♡

「ごしゅじんさまぁ、どえいのぎむを、はたさせてくださいませぇ♡」
「射精して欲しいのか!」
「うんっ♡ まぞめすどえいの、めすあなに、たくさんだしてっ♡」
 ご主人様の瞳を精一杯の媚びをこめて覗き込み、甘く淫らな声でおねだりする。
「よし!望みどおり出してやろう!お前も一緒にイクんだぞ、俺の可愛いマゾ牝奴隷メグ!」
「あいがとうございますっ♡ うれしいっ♡」
 グシャグシャグシャグシャッ!限界まで強まるピストン。

「いくぞッ!」
「きてぇっ♡」
 ご主人様の肉棒で子宮口が抉られ、奥に熱い粘性の液体がドバドバと注ぎこまれる。
 それが引き金となって絶頂の恍惚がわたしの意識を包み込む。
「ああああああああーん、イクイクイクッ!イックゥゥゥゥ・・・・・♥」

 視界がぼやけ、身体が痙攣する。そのままどこかへ飛ばされてしまいそうな気がして力の抜けた手足に鞭打って、拓海ご主人様の肉体にギュッとしがみつく。そんな私の気持ちを察してご主人様もしっかりと抱きしめ返してくれて、女心を満たしてくれる男への思慕の念が沸いてくるのを止められない。

「ああん!ご主人さまぁ♡」
 きゅんきゅんと締まり肉棒から精液を搾りだしていた膣襞の蠕動がようやくおさまり、放出を終えた肉棒から逞しさが抜けるのを体感する。

「今日もお前の名器にたくさん絞りとられてしまったな。」
 ヴァギナからペニスを抜きながら拓海ご主人様がそんなことを言ってくださる。お世辞かもしれないけど嬉しい。素直に受け取っておく。
「ありがとうございます、ご主人様♡」

「それにしてもお前の喘ぎ声は大きいな。イク時なんか特に。防音の部屋だが、あれだけ大きいと、お隣に聞こえちゃってるかもしれないぞ?」
「ご主人様の意地悪。大きな声を出しなさいって命令したくせに・・・」
 怒ったふりをしてプイと横を向く。
 ご主人様はそんな私の髪を手櫛で優しくすいて、ご機嫌をとる。
 首筋をくすぐるようにキスされ、耳たぶを甘噛みされると身体が嬉しげにくねってしまう。

「そんなふうにしても誤魔化されないんだからぁ・・・ああん♡」
「悪かった、これからも大声を出して俺を興奮させてくれよ。」
「今度来るとき差し入れ持ってきてくれたら、許してあげようかなぁ?」
「わかったわかった。ブルガリの高級チョコを買ってきてやるから機嫌直せ。」
「え、そんなのあるの?」
「ああ、楽しみにしておけ。」
「わーい!」

 機嫌を直したふりをしてご主人様を見上げる。潤んだ瞳を閉じ、口をうっすらと開けてキスをおねだりしてみる。唇に湿った柔らかな感触、ふふふ。もともと怒ってなかったわ。ちょっとイチャイチャしたかっただけ。でも・・・目を開けて恥ずかしげに。

「お隣にほんとに聞こえてたらどうしよう?恥ずかしい・・・・」
「引っ越して1週間も経ってないのに男を連れ込んでエッチしてるビッチと思われちゃう、って?」
「うん」
「それは大丈夫だ。何度か下見に来たが女性専用なのにカップルを多く見かけたからな。彼氏がちゃんといる、私はモテるんだってことをアピールするみたいに。だからメグも堂々としていればいいさ。」
「そうなんだ・・・うん・・」

 何度か下見に来たってことは、かなり前から私をここに住まわせようと思ってたってこと?きっと私は拓海さんの計画どおりにされちゃってるんだわ。でも今更ね。もうここに住んでいて、今も拓海さんに思うままに犯されて、絶頂を迎えちゃったりしてるわけだし、どうでもいいわ。

 ということで、話題を変えてご報告。
「あの、今回は全然痛くありませんでした。もう自由に使っていただいて大丈夫ですよ。」
「それは良かった。そんな優秀なマゾ牝奴隷にご褒美を与えないとな。次はお前を気持ち良くさせることを優先してセックスしよう。」
「うれしいです♡」

 ご主人様の頬に軽くキス。しばらくべたべたしていたいけど、夜も遅いし早く最後のおつとめを果たさなきゃ。
「ご主人様、あおむけに寝てください。」
「おう」

 ご主人様が隣であおむけになると、だるい身体をおこして股間に顔をよせ、口を使ってペニスをお掃除する。ご主人様はくすぐったそうな、気持ちよさそうな喘ぎ声をあげている。すると頭上でぐぅぅ~と急にお腹がなった。

「お腹が空いてるみたいですね?」
「ああ、実は忙しくて夕飯食べてなかったんだ・・・ふぁああっ。」
「無理してわたしのお相手してくださらなくてよかったのに。しかも欠伸まで。」
 表情をうかがうと、目がしょぼしょぼしていて眠そう。疲れてるんだわ。

「俺も忙しかったから息抜きがしたくてね。」
「わたしと?」
「そう、メグと。」
「ナターシャさんとか、ほかの女の人じゃなくて?」
「そう、お前といるときが一番楽しいからな。」
―そうなんだ、お世辞かもしれないけど気分が高まる。それならこういうのはどうだろう?―

「あの、ご主人様?」
「んー?」
「よかったら、軽くなにか作りましょうか?しょうが焼きとお味噌汁くらいならすぐできますよ、作りおきの野菜の煮物もあるし、ご飯も炊飯器に残ってますし。」
「おお、それは助かるなぁ。」
「でも、ご飯食べたら眠くなっちゃいますよ?」
「ううーん、そうだなぁ・・・・まぁ近いから大丈夫だろう。」
 迷っているところを見てもうひとつの提案をしてみる。
「夜も遅いし、このまま泊まっていったらいかがですか?ここの家賃を払っているぶん、泊まる権利があると思います。」

 ご主人様に帰ってほしくなかった。ひとり暮らしを経験した人ならわかるが、友人や家族が遊びに来て夜になって帰ったあとの部屋は、孤独感が増してとても寂しくなる。肌を合わせた相手に帰られて一人にされるのは、それ以上に寂しくなる気がする。ご主人様だって帰宅しても一人・・・のはず。だったら私と過ごしたいと思ってくれるかも。

「ここはいちおう男性の宿泊は禁止なんだが・・・建前みたいだし、メグの好意に甘えさせてもらうとするか。」
 案の定、泊まっていくと言ってくれた。よかった。
「そうですよ!お風呂にお湯入れて、ご飯の用意してきますから、待っててくださいね!」

 いきなり元気になった私は、室内着を羽織ると首輪を嵌めたまま、てきぱきと動き出す。

 バスタブにお湯をはり、着替えがないのにあたふたして服を着てコンビニにパンツとTシャツを買いに走り、途中で首輪をしていることに気づき慌ててはずす。

 コンビニではついでに歯ブラシも買い、汗と性交のあとを落すために一緒にお風呂に入り、背中を流し、体を拭き、料理をつくり、おかわりをよそり、お茶をだし、そのあいだに食器を洗い、一緒に歯を磨く。

 そして、セミダブルのマットで抱き合って一緒に横になって、逞しい男性の温かいぬくもりを感じながら、幸せな気持ちで朝までぐっすりと眠った。

 保育士になって他人の子どもの面倒をみるくらい、人に尽くすのが好き。けれども身体を許した男性に自分がこんなに甲斐甲斐しく尽くすなんて想像もしていなかった。性交後の気だるい様子から一変し、活発に動き回ってあれこれと奉仕する私に、いつも余裕たっぷりな拓海さんも、敬語を使ってしまうくらい戸惑っていた。
 それも仕方ないと思う。そんな私に対して、わたし自身でさえも大いに戸惑っていたのだから。

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