第29話:種付けされた牝豚

 何日過ぎたのかもわからぬある時、地下室の重苦しい熱気が、久しぶりに開け放たれた鉄扉からの冷気によって霧散していきました。

 檻の中で、自身の排泄物と男たちの残滓にまみれ、四つん這いで虚空を見つめていた私の前に、鬼灯様が静かに立ち止まりました。知性を失い、ただ熱い餌を待つだけの家畜と化した私の膨らんだ腹部を、彼は手袋越しに冷徹に、けれどどこか満足げになぞりました。

「……身ごもったか。名も知らぬ男たちの種を、これほどまでに溜め込んで」

 その言葉に、私の壊れた脳が微かに反応しました。鬼灯様の指先が、はち切れんばかりに張った私の下腹部を強く圧迫すると、そこからドロリとした不浄な液体が、太ももを伝って床にこぼれ落ちます。

「あ、は……ごしゅじん、さま……。わたくし、お腹……あついの……」

「よくやった。お前は立派に『器』としての役目を果たした」

 その一言は、地獄の底に差し込んだ一条の光のようでした。鬼灯様は、私の首に食い込んでいた革のリードをナイフで断ち切ると、泥濘に沈んでいた私を強引に抱き上げました。

 数時間後。
 鏡の中に映っていたのは、かつての「良家の若奥様」そのものの姿でした。
 最高級のシルクのワンピースに身を包み、髪は艶やかに整えられ、唇には上品な桜色のルージュ。地下室の汚臭は消え、高価な香水の香りが私を包んでいます。

 けれど、その着飾った布地の下。
 私の恥丘に刻まれた椿のタトゥーは、男たちの牙跡や吸い付かれた痕に囲まれ、よりいっそう淫らに赤く変色していました。そして、ふっくらと膨らみ始めたお腹の中には、誰の子供かもわからぬ異形の命が、男たちの執拗な蹂躙の記憶と共に脈打っています。

「さあ、戻りなさい。お前は重いつわりで、しばらく病院生活をしていた。そういうことになっている」

 鬼灯様の冷ややかな声に送られ、私は邸宅へ戻りました。邸宅の広大な庭の隅、打ち捨てられた古い倉庫の地下。そこは、世間から隔絶された私だけの地獄であり、楽園でございました。

「おかえり、深樹。退院おめでとう。顔色が良くなったね……。少し、ふっくらしたかな?」

 玄関で私を迎えた大地さんは、何事もなかったかのように優しい微笑みを浮かべておりました。私が倉庫の地下で、日々代わる代わる男たちの逸物に喉を蹂躙され、涎を垂らして白濁を啜っていたことなど、微塵も知らないような聖人のような顔で。

「ええ、あなた。……静かな場所で、手厚く看病していただいたおかげで、とても……満たされましたわ」

 偽の夫の腕の中に収まりながら、私は淑やかな微笑みを返しました。ですが、そのお腹の中には、誰の子供かもわからぬ異形の命が、男たちの執拗な蹂躙の記憶と共に、不気味なほどの胎動を始めているのでした。

 陽光が降り注ぐサンルームで、私は家政婦が用意してくれた最高級のハーブティーを口に含みました。偽の夫は私の膨らみ始めたお腹を、壊れ物を扱うような手つきで慈しみ、毎日「母体と赤子のために」と、栄養価の高い食事と静養を強いています。

(ああ……なんて退屈で、吐き気がするほど清らかなのかしら)

 淑やかな若奥様を演じながら、私の脳裏を支配しているのは、窓の外、木々の影に隠れたあの古い倉庫の地下にある、淀んだ熱気だけ。
 上品な生活の中、その腹の奥底で疼く「家畜」としての本能を必死に押し殺します。ですが、窓の外、庭の隅に佇むあの倉庫を見るたびに、私の喉は再び男たちの熱い餌を求めて渇きを覚えてしまうのです。

(私の喉は、こんな透き通ったお茶ではなく、もっと喉の奥を焼くような、男たちの熱い餌を欲しがっているのに……)

 夫が仕事へ出かけ、屋敷に静寂が訪れると、私は自室の鏡の前でワンピースを捲り上げます。真っ白な肌に、はっきりと浮き出た恥丘の椿。その周りには、地下室で狂ったように私を貪った、あの名もなき種馬男たちの絶倫な逸物の痕跡が、忘れられない疼きとなって残っているような幻覚を覚えます。

「……あ……は、ぁ……っ」

 指先で椿をなぞるだけで、あの日々、絶え間なく繰り返された種付けの記憶が、鮮烈な音と共に蘇ります。
 若者の野獣のような突き上げ、老人の執拗な喉への蹂躙、そして鬼灯様の、脳を焼き切るほど重厚な衝撃。
 ジュボォッ、グチョ、ピチャッ、ヌルリ。

 耳の奥で、粘り気のある摩擦音と、真空状態の粘膜が引き剥がされる吸着音が鳴り響き、私の秘所はあっという間に淫らな蜜で溢れかえりました。

(お腹の中のこの子も、きっと飢えているわ。あの檻の中で注ぎ込まれた、毒のように濃密な男たちの種を……)

 堕胎も許されず、大事に、大事に「子供を産む機械」として扱われる生活。それが今の私には、何よりも過酷な拷問でした。
 穏やかに暮らしていても、あの地下室の男たちの脂ぎった体臭を、首輪に繋がれて床に撒き散らされた汚物を啜っていた瞬間の、あのIQが低下するほどの恍惚を求めてしまいます。

「……ご主人様、鬼灯様……。わたくしを……また、あそこに、戻して……」

 窓越しに倉庫を見つめ、私は痴呆のような顔で、涎を垂らして震えました。

 お腹が大きくなるにつれ、私の中の「家畜」としての本能は、理性の殻を内側から食い破ろうとしています。いつか、日中、大勢の人々がいる中で四つん這いになり、床を舐めて熱い餌をねだってしまうのではないか。
 その恐ろしい予感に、私は言い知れぬ期待と、甘い疼きを感じて、震えを止めることができないのでした。

 夫が仕事へ出かけ、屋敷を包む静寂が私を狂わせようとします。
 とうとう、私は重たくなったお腹を抱え、高級なマタニティドレスの裾を揺らしながら、吸い寄せられるように庭の隅へと向かいました。

 木々の影に隠れた古い倉庫の重い扉を開け、湿った黴の匂いが鼻腔を突いた瞬間、私の喉は卑しく鳴りました。

「……やはり来たか。そろそろ来る頃だと思っていたぞ、深樹」

 地下へ続く階段の闇の中から、鬼灯様の冷徹な声が響きました。私は期待に震え、大きな腹を支えながら、覚束ない足取りで闇へと降りていきました。

「鬼灯様……っ、あ、あぁ……っ! お腹が、疼いて……もう、我慢が……」

 私は彼の足元に崩れ落ち、泥濘の記憶が染み付いたコンクリートに額を擦り付けました。鬼灯様は私の髪を掴んで顔を上げさせると、膨らんだ腹部を値踏みするように見下ろしました。

「勘違いするな。お前に流産させてしまうと、俺たちの計画が台無しになる。今はまだ、この中の種を育てるのがお前の使命だ」

 そう言いながらも、鬼灯様の瞳には嗜虐の光が宿っていました。彼は私のドレスを無造作に捲り上げると、はち切れんばかりに張った恥丘の椿を、革の手袋で力任せに圧搾しました。

「ひぎィッ! は、はい……っ! 壊さないで……でも、もっと、分からせてぇッ!!」

「壊れぬ程度に、その淫らな本能を調教し直してやる」

 鬼灯様は私を壁に手をつかせ、四つん這いに近い姿勢で固定しました。重たいお腹が重力に引かれ、秘裂が露わになります。そこへ、かつて私の理性を焼き切ったあの重厚な逸物が、粘膜を容赦なく押し広げて突き刺さりました。

 ズブ、ズブゥッ、ドスッ!!

「あ、ああああッ! 奥まで、届いちゃう……っ、赤ちゃんが、鬼灯様に……っ!!」

 お腹の命を守らなければならないという母性と、その命の源を蹂躙されるマゾヒズムの悦びが混ざり合い、私の脳内は沸騰しました。鬼灯様は腹部への直接的な衝撃を避けながらも、角度を変え、膣壁の最も敏感な箇所を、抉るように激しく突き上げます。

 グチョ、ピチャ、バチィィッ!!

 肉がぶつかり合う凄まじい音。真空状態の肉壁が引き剥がされるたびに、溜まっていた蜜と前の「教育」の残滓が、粘り気のある吸着音を立てて弾け飛びました。

「どうした、家畜の分際で母親の顔をするな。お前はただの精液便所だ、思い出せ」

「はいっ……そうですわ……っ! 私は、おじ様たちの……鬼灯様の、肉便器……っ、もっと、もっと激しく、お腹の中をかき回してぇぇええッ!!」

 絶頂は、暴力的なまでの熱量で訪れました。お腹の張りと共に、内壁が狂ったように波打ち、鬼灯様の芯を執拗に締め上げます。彼は私の口を強く吸い、限界まで膨張した種を、子宮の入り口を塞ぐように一気に解き放ちました。

 ドクンッ、ドクンッ!!

「あはぁっ……! あつい、あついのが……赤ちゃんと一緒に、混ざり合って……っ♥」

 私は白目を剥き、涎を垂らしながら、壁に額を打ち付けて悶えました。理性が壊れ、本能だけで鬼灯様の熱を受け止める。

 計画のために大事にされているはずの体。
 その体をこうして無慈悲に扱われることに、私はこの上ない幸福と、魂が震えるようなマゾの悦びに浸り、痴呆のような笑顔で震え続けるのでした。

 臨月を迎え、いつ産気づいてもおかしくないほどに膨れ上がった私のお腹は、今や歩くことさえままならぬ重荷となっていました。ですが、その重みこそが地下室に私を繋ぎ止める鎖なのです。

 夫が寝静まった深夜、私は這いずるようにして再び倉庫の地下へと足を踏み入れました。そこには、最終的な仕上げのために待機していた鬼灯様と、かつて私を蹂躙した絶倫な男たちが、闇の中で静かに欲望を滾らせていました。

「深樹、お前がその腹から赤子を産み落とす前に、その身に最終的な牝豚の刻印を刻んでやる」

 鬼灯様の冷徹な号令と共に、私は台の上に仰向けに固定されました。大きくせり出したお腹が天井を向き、無防備に開かれた秘裂からは、既に期待で溢れ出した蜜が、粘り気のある糸を引いて滴っています。

「さあ、最後の一滴までこの器を汚し尽くせ」

 まずは若者の野獣のような逸物が、はち切れんばかりの膣口を強引に割り込み、内壁を限界まで押し広げて突き刺さりました。
 ズブ、ジュボォッ、ヌポォッ!
 お腹の命が圧迫される不快感と、それを凌駕する肉壁の引き攣れるような快感。男たちが代わる代わる、産道を塞ぐようにその巨根を叩きつけ、絶頂の奔流を解き放っていきます。

「ヒギィィッ! あ、あああッ! 赤ちゃんが、おじ様たちの種で、溺れちゃうぅッ!!」

 グチョ、ピチャ、ピチャ、バチィッ!!

 結合部からは、大量の愛液と男たちの白濁が混ざり合い、沸騰した泥を掻き回すような卑猥な摩擦音が鳴り響きました。密着した肌が離れる際、真空状態の粘膜が「ペチッ」と音を立てて剥がれる吸着音が、私の理性を粉々に粉砕していきます。

 そして最後は、やはり鬼灯様でした。彼は私の両脚を限界まで胸の方へ折り曲げ、胎内の子宮口を剥き出しにさせると、鉄柱のごとき逸物を一気に最深部へと沈めました。

 ズォォンッ!!

「あ、ああああああッ!! 届いた、一番奥……っ! 鬼灯様の……っ、壊れるぅぅううッ!!」

 お腹の形が内側から変わるほどの衝撃。鬼灯様は胎児を避けることなく、むしろその存在を確かめるように執拗なピストンを繰り返しました。脳髄が真っ白に染まり、私は言葉にならない咆哮を上げながら、全身を激しく痙攣させました。

「出すぞッ! お前の汚れた血肉に、俺の支配を永遠に焼き付けてやるッ!!」
「はいッ! ください、全部……っ、鬼灯様の熱い餌を、わたくしの中にぃぃいいッ!!♥」

 ドクン、ドクンと脈を打つ肉棒から濃密な熱い奔流が子宮の入り口を直接叩き、私の膣内は鬼灯様の種でパンパンに満たされました。
 私は白目を剥き、涎を垂らしながら、痴呆のような笑顔でお腹を撫でました。

「あへ……は、ぁ……。これで、この子も……わたくしも……鬼灯様と、おじ様たちの……一生、家畜ですわぁ……♥」

 汗と白濁にまみれた地下室の床で、私は新しい命が産声を上げる瞬間にさえ、この不浄な熱情を求めてしまうであろう自分に、抗いようのない恍惚を感じて震え続けるのでした。

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