その日、私が連れて行かれたのは、真っ白な壁に囲まれた実験室のような部屋でした。
中央のテーブルには、見たこともない機械が置かれています。
太いディルドのような形状をした透明なシリコンの棒。
そこから伸びるコードは、数値が表示されるデジタルモニターへと繋がっていました。
「座れ。今日の課題は『吸引圧』の管理だ」
鬼灯の淡々とした命令に従い、私は椅子に拘束されました。
そして、その無機質なシリコン棒を口に含ませられます。
味も素っ気もないゴムの感触。
これが私の新たな拷問器具でした。
「モニターを見ろ。今から指定する数値を、一瞬たりとも下回るな」
ピッ、とスイッチが入ると、モニターに赤い数字が浮かび上がりました。
指定された目標値は――『150hPa』。
一般的な女性の平均値が100前後だと言われる中で、それは息継ぎなしで維持するにはあまりに過酷な、プロフェッショナルな数値でした。
「息継ぎは許可しない。始めろ」
私は言われるままに頬をすぼめ、思い切り中の空気を吸い込みました。
ジュボッ!!
モニターの数値が跳ね上がります。
それは地獄の始まりでした。
「……ふぅ……う……!」
息継ぎ一つ許されぬまま、私は歯茎が軋む音を聞きながらゴム管を吸い続けます。
頬の肉がひしゃげ、唇の内側が裂けたのか血の味が滲みました。
乱れた黒髪が汗で額に張り付き、苦悶に歪む白磁の肌とのコントラストが、私の悲劇性を際立たせています。
それでも鬼灯は微動だにせず、冷たい眼差しでモニターを睨んでいるのです。
――ガァン!!
突然、首輪から鋭い電撃が走り抜けました。
「気が緩んだな。140まで落ちたぞ」
「ひぃ……っ!?」
喉奥で反射的にゴム管を締め付けると、数値は再び150に戻ります。
しかし安堵する暇もなく、次の電撃が襲いかかりました。
「……違う。145だ。舐めてるのか?」
「そ、そんな……っ!」
モニターを見上げれば確かに145の赤字。
わずかな低下ですら許されないのです。
呼吸が荒くなるにつれ数値は揺れ動き、電撃の雨は激しさを増していきます。
「いいか牝豚。お前の喉はもう子宮と同じだ。常に俺のペニスを離さず、吸い上げ続ける子宮になれ」
彼の言葉は現実のものとなりつつありました。
肺が焼けるように熱く膨れ上がり、思考が霞んでいく最中でも、不思議と口内の異物を拒絶できなくなっていくのです。
まるで粘膜全体が蜜壺へと書き換えられていく感覚――「喉の膣」という屈辱的な形容が、残酷にも事実となっていくのでした。
その宣告と共に始まったのは、果てしない苦悶の時間でした。
――ガァン!
首輪から放たれる電撃が神経を焼き焦がす度に、私は喉奥でゴム管を締め付けます。
酸素が枯渇した脳は霞がかかり、視界がゆっくりと暗転しかけたその時――。
「……おい、聞こえてるか?」
「……あ……」
鬼灯の指が私の鼻を摘まみます。
息継ぎすら禁じられた空間で、窒息寸前の脳が暴走しました。
天井の蛍光灯が万華鏡のように歪み、首輪から延びるケーブルが蛇のように蠢く幻覚が見えます。
「……ダメ……です……意識が……」
「情けないな。これくらいで参るとは」
嘲るような声音と共に、頬の内側を強く押し込まれました。
ゴム管と歯列の摩擦でできた傷口が潰れ、鉄臭い血の味が広がります。
痛みと酸欠で震える舌先が勝手に蠢き――。
「……ほう? 少し面白いことになってきたな」
モニターに浮かぶ数値は155hPa。
限界を超えた吸引力が、私の意志とは無関係に安定し始めていました。
なぜなら……。
「見てみろよ。お前の子宮――いや喉の膣が俺のモノを離さんと言っている」
彼の言う通りです。
全身が痙攣する中で、不思議と口腔だけが別の生き物のようにゴム管を貪っているのです。
唾液と血が混ざった液体が唇の端から滴り落ちるたびに、背筋を甘い戦慄が駆け抜けていきました。
「こんな状態で感じるとはな……本当に救いようのない淫売だ」
蔑む言葉を浴びせられても抵抗できません。
むしろそれを待っていた自分がいることに気づき、吐き気がこみ上げます。
そんな自嘲すら電撃が上書きしていきました。
「さて……喉の処女喪失パーティーの準備は整ったか?」
鬼灯が不敵に笑みを浮かべた時、ゴム管が突然引き抜かれました。
大量の空気が肺に流れ込み、咳き込む私。その隙を突くように鬼灯が近づきます。
「これからが本当の試練だ。お前の喉の膣――俺の逸物を咥え込めるか?」
「跪け」
有無を言わせぬ命令。膝が自然と折れます。
目の前に現れたのは、グロテスクなまでに怒張した男性器でした。
これまで何度も見てきたはずなのに、今宵は一層禍々しく映ります。
「さぁ……開け」
顎を掴まれ強制的に口を開かされます。生暖かい肉塊が唇に触れると同時――。
「おぉぉん……!」
悲鳴にも似た喘ぎが漏れました。
しかしそれはすぐに掻き消されます。
鬼灯の巨大な男根が喉奥へと侵入してきたのです。
「歯を立てるなよ? 数値が下がったら……どうなるか分かってるな?」
その威嚇と共に、私の喉は自動的に開きました。
理性など完全に吹き飛んでいます。
今はただ、「合格」を得るために機械のように働くのみ。
――グチュ……グプッ……。
肉棒が食道を蹂躙します。
反射的に嘔吐しそうになる衝動を抑えながら、私は懸命に吸引を続けました。
150hPa。
あのノルマを維持しなければ。
「もっと締めろ。子宮じゃないか」
罵倒されながらも、私は口内の粘膜を全て使って異物を包み込みます。
すると奇妙なことが起こりました。
喉の奥から全身にかけて、じんわりとした熱が広がってきたのです。
「なんだ? お前……まさか」
鬼灯の表情が変わったのが分かります。
モニターを確認すると――。
数値は『200hPa』を超えていました。
それはもはや、人間の口というよりは、文字通り「真空ポンプ」に近い吸着力でした。
「面白い女だ……」
彼の呟きと共に、腰の動きが激しくなります。
巨大な男根が喉奥を突き破る勢いで打ち込まれました。
「おごっ……! ごぷっ……!」
息ができません。
しかし数値は上昇の一途を辿っています。
喉の粘膜が擦れ合い、血の味が混ざる唾液が溢れ出します。
それでも私の身体は貪欲に異物を吸い上げていました。
「くく……素晴らしいぞ牝豚。お前の喉は正真正銘の子宮だ」
鬼灯の嘲笑が遠く聞こえます。
もう限界です。意識が薄れていく最中――。
「出すぞ! 全部飲め!」
ドクッ! ドクッ! ドクッ!
喉の最奥、食道と胃袋の境目に熱い奔流が叩きつけられました。
灼けるような苦味と青臭い匂いが鼻腔を逆流します。
しかし私は動けません。鬼灯の逞しい腕が後頭部を押さえつけているからです。
「飲め……全部だ。一滴も零すな」
低く響く命令に、私は反射的に喉を鳴らしました。
ゴクリ……ゴクリ……。
喉仏が上下し、華奢な首筋に浮いた血管が美しく波打ちます。
その白磁のような肌に、赤黒い充血と精液の白濁が混ざり合い、堕ちた聖女のような背徳的な美しさを醸し出していました。
濃厚な液体が重力に逆らい胃袋へ落ちていきます。量が多すぎて途中でむせ返りそうになりますが、必死に堪えます。
「ゲホッ……ゴポォ……」
ようやく解放された時、私は床に崩れ落ちました。
涎と涙と鼻水で顔中が汚れています。
それなのに――信じられないことに――私の秘所からは新たな蜜が溢れ出ていたのです。
「どうだ、牝豚。餌の味は」
「……おいしい……です……」
意識が朦朧とする中で、口から漏れたのは本心でした。
お腹の奥が熱い。満たされている。
「良品だ」
鬼灯が冷たく言い放ちました。彼の指が私の顎を持ち上げます。
私は何も言えませんでした。
ただ、熱に浮かされたように彼の瞳を見つめ返すことしかできません。
「良い顔だ。牝の表情をしている」
そう言って彼は去っていきました。
残された私は自分の腹に手を当てます。まだ熱い餌《ザーメン》が胃の中で蠢いている感覚がありました。
(あぁ……私……褒められた……?)
あんなに酷いことをされたのに。
人間としての尊厳を踏みにじられ、機械のように扱われたのに。
鬼灯に「良品」と呼ばれた瞬間、胸の奥で火花のような甘い痺れが走ったのです。
私は戸惑いながらも、その倒錯した喜びと、お腹の底から湧き上がる「満腹感」に身を委ねていました。
空っぽだった私が、また一つ、彼の餌で満たされたのです。