やっぱり私は彼のもの

(……梨杏……あんな顔……するんだ……)
 虚しい自慰を終えたカズヤは、自分の部屋の暗いモニターの前で、ただ一人、画面を凝視していた。

 真っ赤な穴あきのレオタードに包まれた梨杏の姿。
 砲弾のように突き出た乳房が激しく上下に弾み、ニップルチェーンが首輪に繋がれて乳首を容赦なく引っ張る様子。
 黒いニーハイに包まれた太ももが汗で光り、腰が前後左右上下に淫らにくねるたび、肉棒が梨杏の奥を抉る卑猥な水音がスピーカーから響いてくる。
 初めて見る、彼女の本当の姿だった。

 自分の彼女が、別の男の上で、こんなにも淫らに腰を振り、喘ぎ、感じている。寝取られているという現実が、胸を抉るはずなのに――カズヤの股間は、痛いほどに硬く屹立していた。

 ズボンの上からでもはっきりとわかるほど、熱く脈打っている。彼は無意識に右手を股間に伸ばし、布地の上から自分のものを強く握りしめた。

 画面の中で梨杏が腰の動きをさらに激しくした瞬間、息が荒くなった。
「ご主人様……中に出してください……!梨杏のマンコに、熱い精液をたっぷり注いで……!」
 梨杏の懇願する声が響き、指が無意識に動いた。
 ズボンのファスナーを下ろし、硬くなった自分のものを握りしめ、画面に釘付けになったままゆっくりと扱き始めた。
 そして――

「あぁぁぁっ!! イッくうううっ!!」
 梨杏が中イキの絶頂に達した瞬間。
 全身を激しく痙攣させ、背中を弓なりに反らし、乳房を激しく震わせながら、大量の愛液を噴き出している姿を、カズヤはまじまじと見つめていた。
 握っていた自分のものがビクビクと脈打ち、画面の中でご主人様が梨杏の奥に精液を注ぎ込むのとほぼ同時に、カズヤも手の動きを強め、虚しく自分の手の中に白濁を吐き出した。

 その瞬間、カズヤの目から、熱い涙が溢れ出した。
「……梨杏……」
 声にならない嗚咽が漏れる。
 涙が止まらない。
 頰を伝う涙を拭うこともできず、彼はただ画面を見つめ続けた。

 梨杏が恍惚とした笑みを浮かべ、ご主人様の胸に倒れ込みながらカメラに向かって囁く。
「カズヤさん……見て……梨杏……中イキしちゃった……ご主人様の精液で……孕みそうなくらい……イッちゃったよ……」
 その言葉が、カズヤの胸を深く抉った。

 彼は震える指でスマホを手に取り、梨杏とのLINEを開いた。
 涙で視界がぼやける中、短いメッセージを打ち込んだ。
 『さよなら』

 送信ボタンを押した瞬間、胸の奥から虚しさが一気に溢れ出した。
 スマホをベッドに投げ出し、カズヤは両手で顔を覆った。
 画面の中では、まだ梨杏がご主人様の胸に頰を寄せ、幸せそうに微笑んでいる。カズヤは虚脱したまま、力なくベッドに倒れ込んだ。握りしめていた手の中の精液が、冷たくべっとりと頬に絡みついた。

 だが、何も感じなかった。
 ただ、深い虚しさと喪失感だけが、彼の部屋に重く残った。

 激しい絶頂の余韻がまだ身体に残る中、私はご主人様の胸に頰を預け、荒い息を整えていた。ご主人様は私の汗ばんだ背中を優しく撫でながら、静かに口を開いた。
「学生時代に俺が言ったことを、覚えているか?」

 私は首輪に繋がれたニップルチェーンが軽く揺れるのを感じながら、素直に答えた。
「……はい、ご主人様。全部、覚えています」

 ご主人様は私の髪を指で梳きながら、穏やかで絶対的な声で続けた。
「俺に縛られずに自由に男と遊んでいい。合コンでも、二人で食事でも、デートでも。身体を許す以外は何でもしてかまわない。ただし、俺のものである証はちゃんとつけてもらう。スマホはお互いの居場所が常にわかるようにする。いいな?」

「ありがとう……いいよ……俺のものである証って」
 私は少しだけ身体を起こし、ご主人様の目を見つめながら確かめる。

「乳首と性器にピアスを装着してもらう」
「……それだけでいいの?」

 ご主人様は酷薄な笑顔を浮かべながら、指で私の乳首を軽く弾いた。
「タトゥーを彫り、焼印も押す。その覚悟があるなら、な」

 私はその言葉を聞いた瞬間、胸の奥が熱くなった。他の男性に強引にホテルに連れて行かれ、服を脱がされたとき——乳首や秘部に輝くピアス、タトゥー、そして焼印の跡を見た男が、どんな顔をするのか。
それを想像しただけで、子宮が甘く疼いた。

「……うん。証拠を見せるね。他の人に私の身体を見られたとき、ご主人様に守られているって実感できる……それだけで、梨杏、うっとりしちゃう……」

 私はそう言いながら、ご主人様のまだ硬いペニスをそっと手で包み、口に含んだ。
目で「いいよ」と合図を送ると、ご主人様は静かに息を吐き、小水が私の口内にゆっくりと流れ込んできた。私は目を細め、ゴクゴクと音を立ててご主人様の排泄物を飲み干して忠誠の証拠を示した。

 最後までこぼさず飲み込み、口を離したあと、舌で優しく拭う。
「そのことも、『おしっこをしたくなったらそのお口で飲んで欲しい』って言ってたことも……他のことも全部、ちゃんと覚えてるから」
 そう言って、私はふっきれたような、晴れやかな笑顔を見せた。

 ご主人様も、優しく微笑み返してくれた。
「良い子だ。さて、もう一戦したら寝ようか」
 私たちの夜は、まだ終わりそうもなかった。

 翌朝、私はご主人様の胸に頰を預けたまま目を覚ました。
 朝の柔らかな光がカーテンの隙間から差し込み、ご主人様の下半身が少し硬くなっているのが肌に伝わってくる。
 当然のこととして、私は身体を起こし、掛け布団をはいでご主人様の朝立ちしたペニスにそっと顔を近づけた。

 まだ眠そうなご主人様の太ももに頰を擦りつけながら、丁寧に舌を這わせ、根元から亀頭までをねっとりと舐め上げていく。

「ん……おはようございます、ご主人様……朝立ちのおちんぽ、梨杏がちゃんと鎮めてあげますね……」
 私はそのまま口に含み、ゆっくりと喉の奥まで咥え込んだ。

 朝の敏感な肉棒を、優しく吸いながら舌を絡め、丁寧に奉仕する。
 ご主人様が低く息を吐いて静かに達した。私は根元まで深く咥え、喉をゴクゴクと鳴らして精液を美味しく飲み込んだ。

 丁寧に舐め清めたあと、私は満足げに微笑んだ。
「ごちそうさまでした。朝立ち、鎮まりましたね?」
 ご主人様は私の髪を慈しむように梳きながら短く答えてくれた。
「ああ、おはよう、良い子だ」

 私たちは一緒に広いバスルームへ入った。
 浴室へ足を踏み入れると、籠もった熱気と蒸気が肌に纏わりつく。私はご主人様の御前に跪き、たっぷりと泡立てたボディソープを掌に取った。

「失礼いたします、ご主人様。隅々まで清めさせていただきますね……っ」

 厚い胸板から逞しい肩、そしてしなやかな腕へ。指先で筋肉の輪郭をなぞるように、丁寧に泡を滑らせる。硬く引き締まった腹筋へと手を移すと、私の指は吸い付くような熱を帯び、そのまま下腹部の茂みへと深く分け入った。泡に包まれた秘部を、壊れ物を扱うような手つきで、奴隷としての執念を込めて、熱心に洗い上げていく。

「っ、はぁ……。ご主人様の体、こんなに熱い……。私の胸も、使わせてください……」

 背後に回り込み、自身の豊かな乳房を惜しみなく押し付けた。水に濡れた肌と肌が密着し、逃げ場のない摩擦が甘い痺れを呼び起こす。柔らかな肉の感触で背筋や腰を擦り上げ、そのまま太ももからふくらはぎ、指の一本一本に至るまで、手と体全体を使って磨き上げた。

 降り注ぐシャワーの飛沫に打たれながら、ご主人様の手が私の濡れた頬を、愛しそうに撫でる。

「隅々まで、よく尽くしてくれているな」
「ご主人様に、こうしてお仕えできるようになって、嬉しいの」

 温かな湯が二人の体を洗い流していく中、頭上に置かれた手の重みに、私は幸せをを噛みしめていた。

 バスルームを出たあと、私はスマホを取り上げ、カズヤさんとのLINEを完全にブロックした。履歴も全て消去した。もう、あの優しい顔を思い浮かべても、何も感じなかった。

 着替えて身だしなみを整えると、ご主人様が私のかばんに黒い袋を詰めた。

「今日からお前の尻に小さなアナルプラグを嵌めておけ。アナルセックスができるよう、しっかり拡張していくぞ。1時間ほどで外していい。アナルビーズとローションも持たせておくから、外した後はアナルオナニーにも励め」

 私は黙って頷きながら、秘部とアナルに残る感触を意識して胸がときめいた。

 チェックアウトを済ませ、SMホテルを後にする。ホテル代は当然割り勘だ。私は売春婦ではないし、私も気持ちよくしてもらっているのだから。でもご主人様が「カズヤと別れた祝いだから」と言って全額払ってくれた。

 私はこれからどんな風に調教されていくのか。
 これからは、ご主人様の牝奴隷として、痛みと快楽と、絶対的な愛情の中で生きていく。
 私の新しい人生が、本当に始まった。

【完】

error: Content is protected !!