Discipline3:『セックス合宿』での至福 第4話

「・・き・・・・・セック・・・・め・・・・」
 冷たい女性の声に、芽美は深い眠りの世界から現実世界へゆっくりと引き戻される。

「おきな・・・・セックス・・・・・メグミ」
「んん~、もう少し眠らせて~」

 いささか寝起きの悪い芽美にイラついたのだろう、声は大きさと厳しさを増す。
「起きなさい!セックススレイブ、メグミ!」

 芽美は驚いて目を覚ます。と、自分を鉄格子の檻の外側から冷酷なまなざしで見つめているナターシャの姿が目に入った。芽美の時間感覚では夕方頃かと思われるが、外界から隔絶されている『メグの憩いの部屋』ではまだ昼間なのか、芽美の感覚どおり夕方なのか、それとももう夜遅い時間なのか、全く検討がつかなかった。

「あ、おはようございます・・・でいいのかな?今何時ですか、ナターシャさん?ってその格好は??とってもセクシーで似合ってますけど・・・」

 芽美は眠い目をこすりながら起き上がり、ナターシャに親しげに話しけると、その服装をみて赤面する。ナターシャは、この前の胸元の締まった長袖ブラウスとロングスカートの正統派メイド服ではなく、黒い網目メッシュのフレンチメイド服を着ている。

 超ミニのドレスタイプで首まわりから肩と背中が大きく露出しているだけでなく、シースルーで大きなバストと乳首が透けて見える。下半身には刺繍の入った黒いソングショーツを履いているものの、これもやはり透けているばかりか、肝心の箇所がほとんど隠されていない。
 脚にはニーハイタイプの黒の網ストッキングを着けている。女の芽美からみても、背が高く、胸が大きく手脚が長いナターシャにそのセクシーな服装はよく似合っている。

 しかし、ナターシャは芽美の言葉に答えることなく、無言で鎖を引っ張り芽美を檻から引きずり出そうとする。首輪で首を絞められる息苦しさに、芽美は這いずりながら自分から檻を出る。

「ごほっ、ごほっ・・・乱暴はやめてください、ナターシャさん!どうしてこんなことを?」
 優しかったナターシャの変貌に困惑する芽美。そんな芽美にナターシャは言う。

「マスターからマゾメスの飼育係を命じられマシタ。マスターがアナタを調教する前準備や後始末、食事や排泄、身だしなみの世話、マゾメス奴隷としての基本教育はワタシが行ないマス。わかりましたね、メグ?」
「え、えっと?ナターシャさんにお世話になるのは、ちょっと恥ずかしいかな・・・とくに、その、おトイレなんて・・・ははははっ!?ちょっと、やめてくださいっ!」

 困ったように照れ笑いを浮かべて友だち感覚でナターシャに話しかける芽美。しかしナターシャは、途中で芽美から離れ、室内中央付近の天井の滑車に鎖を引っ掛けスイッチを押す。すると滑車が回り、芽美は無理やり立たせられる。さらにナターシャは、いやがる芽美の手首の拘束具を天井のフックに引っ掛ける。芽美は爪先がなんとか床に付いている状態で、強制的に立たされ拘束された状態になった。

「今日からワタシはアナタのミストレス(女主人)デス。ワタシのことはナターシャさんではなく、敬意をこめてナターシャ様またはミストレスと呼ぶヨウニ。ここでのアナタの身分は最下位、しかも性欲に負け、ヒューマン以下のアニマル、メスとして飼われることを自ら選んだ罪深き存在デス。ワタシのような敬虔なクリスチャンには信じられないほどケガラワシイ」

 ナターシャは侮蔑のこもった視線を芽美に向ける。

「そんなっ、この間は友だちになろうって・・・。ナターシャさんだって、風俗のお仕事をしてるじゃないですかっ!?拓海さんとだって、実は今もエッチしているんじゃないんですかっ!?」

「この間まではアナタがマスターのことを愛していると思ってましたカラ。マスターとは、あなたのことを知ってからは一度もセックスしていまセン。でもアナタは二股をかけているばかりか、さらに他のオトコにも色目を使っていたそうじゃありまセンカ?ワタシがセックスの仕事をしているノハ、日本に騙されて連れてこられ、借金を返して生きていくために仕方なくデス。セックスは好きデスが、性欲に負けてのことではありまセン」
「そんなっ、違いますっ」
「なにが違ウ?ということは、マスターを愛しているのデスカ?」
「そ、それはっ・・・」

 言葉に詰まる芽美に、ナターシャはたたみ掛ける。

「自分の性欲に負けて、愛してもいないオトコとSM奴隷契約を結ぶなんて、本当にケガラワシイ変態デスネ。色目を使っていたオトコに襲われたのも、ジゴウジトクというものデス。レイプはマスターに助けられて未遂だったそうデスガ、内心、残念だったのではナイデスカ?朝の浴室でのセックスでは、スゴイ乱れ具合だったと聞いてイマス。レイプされそうになった興奮で初めての絶頂を迎えたのデショウ?そんな淫乱マゾの相手をしなければならないマスターが可哀そうデス」
「ひどいっ、そんな言い方・・・」

 芽美は信頼していた拓海とナターシャに裏切られた気分になる。
「二人とも、信じていたのに・・・」

 反論する気力を失い、ただそう呟くと、ナターシャから目を逸らし横を向いてしまう。ナターシャは逃げることは許さない、というばかりにそんな芽美の横に回りこみ、顎をもって強制的に目を合わせ、熱く語る。

「マスターはなぜかアナタのことを気にいっているようデス。アナタを契約書やこの部屋などで縛りつけ肉体関係を結び続ければ、いつか自分を愛するようになるとお考えのようデス。
 でも淫乱マゾの罪深いアナタは、異国の地で騙されて困っていたワタシを助けてくれた心優しいマスターの恋人にはふさわしくありまセン。なぜなら、アナタのようなオンナは、恋人として対等になり自由を得た後、必ず性欲に負け浮気をして恋人を裏切り傷つけることになるからデス。風俗のセカイでそういうたくさんのオンナをみてきたワタシにはわかりマス。
 アナタはマスターの性欲を満たすだけのセックススレイブ、『マゾ牝奴隷』の立場がお似合いデス。二人の性癖はサドとマゾで相性はピッタリですから、SMセックスでお互いに大きな快感を与え合うことができマス。でも、それ以上の関係になれば、二人とも必ず不幸になりマス。
 だからワタシは、アナタを甘やかしがちなマスターに代わって、アナタが立場を忘れて増長しないよう、恋人でも友人でもない、それ以下のセックススレイブとして厳しく躾けマス。それがワタシのマスターへの恩返しデス」

 芽美には、自分をみるナターシャの視線に軽蔑と憐憫のほかに、嫉妬の感情がこもっているように感じられた。それを口にしてしまったのは、劣勢に立たされている状況下、ライバルの本性をあらわした女に一矢報いてささやかな優越感に浸ろうという馬鹿げた虚栄心からであろう。

「ナターシャさんは、拓海さんのことが好きなのね?」
 ナターシャの顔に一瞬、動揺が走り、すぐに無表情になる。しかし、表情を注視していた芽美はその一瞬を見逃さなかった。

「熱く語っていたけれど、結局は、それが理由?ナターシャ、さま。そんな破廉恥メイドの格好をしているのも、拓海さんに抱かれたいからかしら?」
 小馬鹿にするような笑みを浮かべ、わざとらしく『さま』を強調して嫌味たらしく言う芽美。その小さな勝利の代償は高くついた。

「言うことを聞かない生意気なマゾ牝奴隷には、ワタシの裁量で懲罰を与えることが許されていマス。それから、言い忘れていましたが、マゾ牝奴隷はマスターまたはその代行者であるワタシの許可がなければ話すことを禁じられていマス。さきほどワタシを指示どおりの敬称で呼ばなかったこと、ワタシの許可がないのに話したこと、ミストレスであるワタシに生意気な口をきいたこと、以上3つの罪に対する罰を今から与えマス」

 ナターシャの口調は淡々としているが、芽美をにらむ眼差しには嫉妬と憎しみが露わになっている。調教用具が保管されている倉庫に姿を消し、戻って来ると天井から吊るされたままの芽美の背後に回りこむ。

「いったいなに・・・ムグウッ?」
 つい声を発してしまった芽美に、後ろから口枷が、続いて目隠しが嵌められる。嫉妬にかられたロシア人美女から何をされるのか不安に怯え、首を振ってうなり声をあげる芽美。

「ゥゥゥ?」
「この服装は、ワタシがマスターにお仕えするときの本当の正装デス。マスターがとてもセクシーだと褒めてくださいました。アナタの発言はマスターを馬鹿にしたのと同義デス。とても罪深いことデス。マスターからは、奴隷に学ばせるためにセックスの実践をする必要があれば相手をするように、奴隷が生理の時などには代わってマスターの性欲処理のお相手を務めるようにと言われていますから、ご心配は無用デス。それから・・・」

 ナターシャの言葉に嫉妬と憎悪が上乗せされ、大声になる。
「ワタシは、マスターほど甘くありマセンヨ!」

 ナターシャの声が芽美の後ろから響くと、ヒュン!となにかが風を切る音がした。その瞬間、芽美の背中を皮膚を裂くような鋭い痛みが襲う!。
 ビシィーッ!

「ムグッッッ!?」
 口を封じられている芽美は怯える獣のように唸り声をあげ、激しい痛みに身体をくねらせる。
-いたいいたいいたいっ、なによこれっ-

「オマエのようなナマイキなメスをオシオキするには、やはり鞭打ちが一番デスネ」
 ビシィーッ!

「ムグッッッ!」
-いたいっいたいっ!・・・ムチ、ムチですってぇ?たしかこのあいだ拓海さんに・・・でも、あの時はこんなに痛くなかったわ・・・-

 不思議がる芽美の心を読んでいるかのようにナターシャが言う。
「ふふふ、以前、マスターが使ったのは、派手な音のわりに打撃が分散し痛みが少ない『バラ鞭』デス。今回ワタシが使っているのは、力がほとんど逃げずに肌に伝わり鋭い痛みが走る『一本鞭』デスヨ。メスの躾けに情けは無用デスカラ」

 ナターシャは芽美に視覚でも恐怖を与えるために敢えて目隠しをはずすと、休む暇を与えず続けざまに鞭を振り下ろす。調教部屋の鏡の壁面に芽美の背後でニヤニヤしながら一本の細い鞭を振り上げる残忍な金髪メイドの姿が写っているのが見えて芽美は恐怖する。

 ビシィーッ!ビシィーッ!ビシィーッ!
「ムグッッッ!、ムグッッッ!、ムグッッッ!、ムグッッッ!」
-そんなひど・・・イタッ!イタイッ!!イタイッ!!!イタイッッ!!!!-

 暴力など振るわれたことのない若い女にとって、あまりも理不尽で耐えられない痛みだった。芽美の股間から太ももを伝ってゴムマットの床へ、匂い立つ温かい液体が意思に反して流れ出す。エックス模様に鞭打たれた背中にはミミズ腫れができ、数箇所から血が滲み出る。芽美の顔は酷い痛みと恐怖で歪み、瞳からは大粒の涙が溢れ出る。

「お漏らしなんてして、もっと鞭をオネダリするとは、さすがマスターが見込んだMasochistデスネ!悦びナサイ、あと5回は打ってあげマス!」
 その様子を残虐な表情で満足そうに眺め、さらに鞭を振り上げるナターシャ。

-もう、イヤッ、死んじゃうッ-
 恐怖に思わず目を瞑り助けを求めようとする。

-助けて、たすけてッ-
しかしボールギャグに邪魔され、口からは意味不明なうなり声が出るばかり。

「ウウウウウウウツ!」
 絶望する芽美。

 だが、予想に反して一本鞭が風を切る恐怖の音は聞こえてこなかった。聞こえてきたのは拓海の声。
「ナターシャ!なにをしている?」

 おそるおそる目を開けると、長袖シャツにチノパン姿の拓海が調教部屋のドアを開けて立っていた。

-拓海さん、たすけて!-
「んんんんっ」

 近づいてくる拓海に助けを求めようとする芽美だが、声は意味不明の唸りにしかならない。背中はじんじん痛み、下半身は漏らした尿が不快にまとわりついている。

-こんなのいやぁっ-
 芽美の頭の中は痛みや恐怖、恥ずかしさで半狂乱状態だが、拘束されギリギリ立たされている体勢ではどうすることもできず、泣きながら首を振り身体をゆらゆらと揺らすばかりだ。そんな芽美を無視して拓海とナターシャが会話する。

「マスター、おかえりなさいませ。礼儀知らずのメスにオシオキをしておりました」
「礼儀知らず?」
「はい。ワタシを指示どおりの敬称で呼ばなかったこと、ワタシの許可がないのに話したこと、ミストレスであるワタシに生意気な口をきいたこと、オシオキの最中にお漏らしをしたことデス」

「そうか。なら懲罰は当然だな。邪魔してすまない。続けてくれ、ナターシャ」
 あっさりそう言い残して去ろうとする拓海。

「んんんんんんっ!!」
 芽美は慎みを捨ててできるかぎり大きなうなり声を上げ、自分に視線を向けようともしない拓海の注意を引こうとする。しかしナターシャが拓海に話しかけて芽美の邪魔をする。

「マスター」
「うん?」
「お帰りになられたばかりのようですが、お食事とお風呂どちらを先になさいますか?それとも、このまますぐ調教にはいられますか?」
「そうだな・・・腹が減っているから先に食事にしたいのだが・・・このメスの懲罰と躾けが終わっていないのなら、先に風呂にするか・・・」
「んんんんん!(拓海さん、助けて)」
 拓海を行かせてなるものかと、必死に唸る芽美。だが二人は芽美のほうを見向きもしない。

「では、ワタクシは食事の準備をいたしマスので、マスターはワタクシに変わってメスのオシオキと躾けをしてくださいマセ」
「それはありがたい。しかし俺は下手だからなぁ。鞭なんてとくに・・・」

 芽美はナターシャと一本鞭から逃れられる希望が生まれ、二人の会話に静かに耳をすませる。
「面白いジョークですネ、マスター。マスターにされた恥ずかしいオシオキの数々、ワタクシは忘れていませんヨ?」
「でも、このメスは鞭が好きなのだろう?お漏らししてさらにおねだりするくらい?なら鞭が大好きなナターシャが適任じゃないのか?」
「イイエ、マスターのおしおきなら何でも悦んで受けますよ、このメスは?」
「ふむ・・・まぁどちらでもかまわないから、メスに選ばせてやるとするか・・・」

 ここへ来て初めて拓海が芽美と目を合わせる。
「このままナターシャに痛い鞭のおしおきを受けるのと、帰宅したばかりで風呂にも入っていない俺に恥ずかしいおしおきを受けるのと、どちらがいいかな?好きなほうを選びなさい」

 芽美は考える。
ー拓海さんの奴隷としてはご主人様にお風呂に入っていただくのが正解なのかも・・・そうしたらナターシャからまだ一本鞭で打たれる、そんなのもう無理っ・・・拓海さんを選んだらどうなるのかな・・・鞭は苦手そうだけど・・・ナターシャが恥ずかしいおしおきを色々されたって・・・痛いのより恥ずかしいほうがましなような気がするー

 考えがまとまった様子の芽美へ拓海はまずナターシャを指差す。芽美は首をぶんぶんと横に振る。つぎに自分を指差す。芽美はこくこくと首を縦に振る。

「わかった。俺がナターシャに代わっておしおきしてやろう」
 一本鞭から逃れられたことに喜色を浮かべる芽美。

「こういうときハ、『よろしくお願いシマス』と言うのヨ」
 ナターシャに指導され、その通りにする。

「よろしくお願いします、拓海ご主人様。」
「マスターには素直なのネ、ワタクシへとは違って」
 皮肉を言うナターシャ。

「ん?」
 拓海は二人の発言には反応せず、なにかに気づいたように芽美の後ろに回り込む。

「ナターシャ、一本鞭を1、2何回振るうだけでこうなったのか?」
 みみず腫れができ血が滲んでいる芽美の背中を指差しながらナターシャにたずねる。その声は先ほどまでと違い冷たい。

「・・・5回デス、マスター」
「一本鞭の使用は確かに許可していた。だが1回かせいぜい2回、一本鞭の痛さを体験させるだけに止め、このメスに傷をつけるなと命じたはずだが?」
「・・・もうしわけございまセン」
「なぜ俺の命令に従わなかった?」
「・・・・・」
「どうやらお前にもまだ躾けが必要なようだな」
 青ざめるナターシャ。しかしその顔には、かすかな被虐の悦びが浮かんでいるようにも見える。

「あと何回、芽美を鞭打とうとしていた?」
「5回デス」
「では、その分だけお前を俺が鞭打ってやる、一本鞭でな」
「そ、それは・・・・お許しくだサイッ、マスターッ!」

 少し前までの強気な態度が消失し、拓海に対しておろおろと許しを請うナターシャ。その様子を見ている拓海の視線はやや醒めている。

「つべこべ言わずに早く芽美と交代しろ・・・いやその前に芽美の準備をするのが先か・・・手伝え、ナターシャ」
「かしこまりました、マスター」

 ナターシャはこれ以上拓海の不興を買わぬよう、いそいそと動き始める。芽美もまた、拓海の気が変わっては堪らないとナターシャに全面的に協力する。

 ここまでは事前に拓海が描いていたシナリオどおりであり、拓海が目線と微かな動作でナターシャに指示を送り、ナターシャが時折、これでいいでしょうかと確認するように拓海に目線を送っている。そのことに一本鞭の苦痛から逃れてホッとしている芽美が気づくことは、もちろんできなかった。

  芽美はボールギャグを口に嵌められ、首輪とスレイブリングをつけただけの裸の姿のまま、三段の階段形状の拘束台につながれた。両足首・両膝を地面より少し高い1段目にやや開いた位置で固定され、両手首・両肘をやや開いた位置で2番目の台座に固定されている。二段目の台座は一段目より芽美の太ももの長さほど高くなっている。腰骨のあたりを拘束ベルトで固定されているため、芽美は頭以外を動かすことはほとんどできない。

 つまり、尻が後ろに突き出し上半身が少し浮いた、変形四つん這い、といった姿勢だ。正面を見るには頭を少しだけ上げる必要があり、背中をほんの少しだけ弓なりにしなければならない。ただ、それほど無理な姿勢ではなく、長時間そのままでも大丈夫そうだ。

 芽美のすぐ目の前には先ほどの芽美と同じように立位で拘束されているナターシャがいる。両手首を天井から吊り下げられている拘束具に固定されているのは同じだが、芽美とは違い両足首も床の拘束具に肩幅の距離で固定されている。黒い網ストッキング以外は何も身につけておらず、芽美からはナターシャの大きな乳房はおろか股間の性器までが丸見えだ。

 ただし黒く太い鉢巻きのような布で目隠しがなされ、口には芽美同様ボールギャグを咥えさせられているため、ナターシャがどんな気持ちでいるのかは芽美には推し量ることができない。

 ナターシャの右側には拓海が立っている。服は着たままで右手に先ほどまでナターシャが持っていた一本鞭を手にしている。

「芽美、今から俺がこのナターシャを5回、この一本鞭で叩く。それでこいつがどう反応するか、よく観察するんだ、いいな!」
 俺の言うことを聴いていて当然とばかりに芽美のほうを見向きもせずそう言い終えるとすぐに拓海はナターシャの尻に鞭を振り下ろし始める。

 バシィーッ!・・・・・バシィーッ!

 1分間ほどだろうか、拓海はかなりの間を置いて鞭を振り下ろしている。男の手で振り下ろされる鞭は力も速度も先程を上回っていっそう暴力的で恐ろしく見え、芽美はどうしてもそちらに視線を奪われる。
 恐怖の鞭を、昔恋人関係にあって、今でも自分を想っている親しい女性に容赦なく振り下ろす拓海が、暴力で女を支配する悪魔のように思えてくる。そんな残虐な男に捕まってしまった私はどうなるのか。不安と恐怖で芽美は二人のほうを見れずに俯いてしまう。

「命令に従え、マゾ牝奴隷メグ!お前も一緒に鞭打たれたいのか!」
 悪魔の無慈悲なセリフに芽美はこわごわ頭を上げる。

「俺のほうじゃなくてナターシャを見るんだ!この鞭好きのロシア女を!」
―え・・・鞭が・・・好き?―

 困惑する芽美をよそに、拓海が3回目の鞭をゆっくりとした動作で振り下ろす。しかし先端には力とスピードが乗っていて鋭い。
 ピシィーッ!

 ぼんやりとナターシャ全体を眺めていた芽美は彼女の股間の異変に気づく。
―あれ?もしかして・・・濡れているの??―

 顔を上げてナターシャの顔をまじまじと眺める。恐怖で青ざめているかと思いきや、頬に赤みがさしている。
―興奮?してるような??―

 視線を下げて乳房に注目する。
―うわぁ、垂れてきてるけど大きくて羨ましい・・・じゃなくて、乳首が・・・勃ってる??―

 さらに視線を下げて女性器を凝視していると、拓海が4回目の鞭を振り下ろす。
 ピシィーッ!

 開き気味の女唇から、白濁した液体が噴出したように見えた。局部からその周辺、腰から脚にかけて小さく震えている。
―ナターシャさん、ほんとに感じてるんだ!!・・・あんなに痛い鞭で!?―

 ボールギャグを噛まされているナターシャの口から漏れ出ている声も、苦痛の叫びではなく快感の喘ぎのように聴こえる。
「ウー、ウー、ウー、ウー♥」
 ナターシャが何かを拓海にお願いしているようだが言葉になっておらず、芽美には理解できない。しかし拓海には通じたようだ。拓海はナターシャに語りかける。

「ナターシャ、お前はとても美しく、オシャレで、セクシーで、料理上手で、仕事ができて、気が利いて・・・言い尽くせないほどたくさんの長所がある素晴らしい女だ。そんな能力すべてをつかって献身的に尽くしてくれるお前には、とても感謝・・・いや、愛している。
 だが、もうすぐ借金を返済し、貯金もできて祖国ロシアに帰るお前と、日本で果たすべき目標がある俺とでは、残念だけれど二人で幸せになることはできないって、結論を出したじゃないか。
 お前が芽美に嫉妬していることはわかっている。でもお前と俺との間には、芽美が容易には超えることができない、長年の交際で二人で築き上げてきた心の絆があるだろう。だから、お前が嫉妬することはない。逆だよ。芽美がお前に嫉妬するんだ。
 さあ、マスターが命じる、俺の鞭でオーガズムを迎えて、俺達二人の強い絆をこの新参マゾ牝奴隷に見せ付けてやれ、俺の美しい金髪巨乳マゾメイド、ナータ!」

 ナターシャもナータも、ナタリヤの愛称だ。二人が恋人同士であった頃、拓海は彼女のことをナータと呼んでいた。しかし恋人関係を解消してからは、けじめをつけてナターシャと呼んでいる。

 拓海の言葉を聞いている間、ナターシャは時折ブルッ、ブルッと身体を震わせていた。拓海の言葉だけで軽く達してしまっていたのだ。そこへ拓海が最後の鞭を振り下ろす。
 ピッ、シィ―――ッ!!

「ウウウウウウウウウウウウーッ♥」
 拓海とナターシャ、二人の本当の関係を知った芽美が複雑な感情を抱いて凝視する目の前で、ナターシャが一瞬身体を突っ張らせ、ビクビクと震えてオーガズムのエクスタシーに浸る。

―拓海さんの鞭で本当にイッたんだ・・・―

 数分前にナターシャの嫉妬心を見抜いて優越感に浸っていたときの明るい気持ちはひとかけらも残らずに消え去っていた。別れたとはいえ、二人がいまだに愛し合い、気持ちが通じあっていることが芽美にも理解できた。

 黙ってこの場から立ち去りたいと思う芽美だが、拘束されていて不可能だ。愛し合う二人のそばで裸のまま動物のように拘束されている自分が酷く惨めだった。背中のミミズ腫れがジクジクと痛む。

 これまでの言動から、拓海が歪んではいるが自分に惚れているものと考えていた、浅はかな自分が情けなかった。口枷を嵌められ声も満足にだせないまま、芽美は目を閉じて静かに悲しみの涙を流すのだった。

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