~interlude7~ 貞淑妻奉仕

 12月24日金曜日の午後2時、夫である優斗の南米出張に備えて着替え、パスポート、現地通貨、クレジットカード、医薬品などの準備を終え、フライト時刻を確認して夫に声をかける。

「あなた、これをスーツケースに詰めてください。本社に寄ってから空港に向かうなら、そろそろ出発しないと間に合わないわよ!」
 最終的な荷造りは夫に任せることにして、生まれて5ヶ月の娘の面倒をみている優斗に声をかける。

「おおっと、もうこんな時間か!急がないといけないね!」
 優斗は慌てて荷物をスーツケースに詰めると、シャワーを浴びて身だしなみを整えた。

「芽美さん、真愛美のことを頼んだよ。あと体調に気をつけて!無理しないようにね!真愛美も良い子にしているんだよ!」
 年下の夫は私のことをさんづけで呼ぶ。夫は27歳。私はこの11月に29歳になった。

「大丈夫よあなた。何かあればお義父様お義母様を頼るから。それに前にお話しておいたとおり、あなたがいなくて寂しいから、今夜から数日は真愛美と一緒に千佳先輩のところに泊まりにいくつもりよ」
「わかった!なら千佳さんにおみやげ買ってこないといけないな。真愛美、パパは年明けには帰ってくるよ、時々電話するからね!」
 優斗は真奈美のほっぺたをツンツンしながら話しかけている。

「だぁ!」
「ありがとう、体調にも気をつける!おみやげもちゃんと買ってくるよ!」

 娘の奇声を都合よく解釈してニコニコ顔の優斗パパ。かなりの子煩悩で、出張に行く度に娘へのお土産を大量に買ってくるのだ、まだ使えもせず食べることもできなようなものばかり。それより私へのお土産を買ってきてほしいのに。

「千佳先輩はお土産なんかより現地の情報を話してあげたほうが喜ぶわよ、きっと」
 そうアドバイスしたところでインターホンが鳴った。

「あら、タクシーが来たみたい?」
 優斗が出ると運転手さんからの到着の連絡だった。

「芽美さん、真愛美、では行ってくるよ!」
「はい、いってらっしゃい、あなた」
「だ~あ!」

 優斗が玄関のドアを開けて、私に熱い口付けをして出かけていった。真愛美の妊娠が発覚して以降、お腹の子どもに万一のことのないようにとの優斗の意向で一度もセックスしていない、なんどかお口でしてあげることはあったが。
 けれども真愛美が無事に生まれ5ヶ月が過ぎ、ようやく落ち着いてきたから、優斗が年明けに帰国したら久しぶりにセックスする約束をしていた。二人目の子供を作るための中出しセックスを。

「私達も一休みしたら準備してお出かけしましょうね、真愛美」
「だぁ~?」
「千佳お姉さんのところよ」
「だあ♪」
「そうね、楽しみね♪」
 わたしも優斗のことは言えない。自分の心を娘に投影し都合よく解釈している。

 お義母様に電話し、優斗が予定どおり南米への海外出張に出かけたこと、私達も今日から週末にかけて友人の千佳さんのところへ泊まりに行くことを伝える。お義母様はいつもどおり息子が出張で留守にしがちなことを謝罪し、私達の所へも遊びに来るようにうながす。私も年末までに真愛美と二人で、お正月には優斗も含め3人で遊びにいくことを約束して電話を切った。

 夕方、私は真愛美を連れて愛車のX5でチャイルドシートの真愛美と一緒に千佳先輩のところへ向かう。千佳先輩が住んでいるのは拓海さんが住んでいた事務所兼住居だ。 昨年末に3年間の欧州勤務を終えて帰国した先輩は、拓海さんからこの場所を部屋の管理その他諸々の条件付きで格安で借り、今年の夏に大手旅行会社を退社してこの事務所で独立の準備を進めている真っ最中。

 地下駐車場で手鏡を取り出して化粧をチェックする。服装は清楚な若妻っぽい落ち着いた色使い。だけど化粧は少しだけ派手。耳にはダイヤのピアス。

―うん、大丈夫ー
 今から上がりますと電話をしてエレベーターで4階に上がると千佳先輩が待ってくれていた。

「ここから先は階段で大変なのよね」
「すみません、ありがとうございます」
 私がベビーカートから真愛美を抱き上げると千佳先輩がカートを畳んで他の荷物と一緒に持ち運んでくれる。
「えと、お義兄さまは?」

 千佳先輩は養子で義理の父親との二人家族なのだが、年齢が若すぎるため父と娘ではなく兄と妹で通している。私も千佳先輩と話すときは恥ずかしくて『お義兄様』という言葉を使ってしまう。千佳先輩の『お義兄様』としての彼と会うのは初めてだ。

「 フライトが遅れたらしくてまだ着いていないわ。でも今日中に着くことは間違いないから楽しみに待ってて。それまでは残念だけど私の相手をしてもらうわよ。彼が着いたら真愛美の面倒はしっかり看てあげるから!」
「・・・はい、よろしくお願いします・・・」

 千佳先輩はもちろん全てを知っている。でもこういう状況は初めてだから恥ずかしくて赤面してしまった。

 3人でクリスマスパーティをしているとお義兄様が到着なされた。真愛美を優しさと切なさが篭もった目で見つめたのが印象的だった。

 食事中、成田空港にいる優斗から電話がかかってきた。
「ええ、今は千佳先輩の家よ。大丈夫、気をつけていってらっしゃい!」
 そう言って電話を切る。お義兄様の視線が痛い。

 世間話や仕事の話をしながら食事と後片付けを済ませ、千佳先輩と二人で真愛美の世話をする。お義兄様が風呂から上がると千佳先輩が気をつかってくれる。
「あとは私が真愛美ちゃんの面倒をみるわ。邪魔しないからごゆっくり」
「・・ええ、そうさせていただきます」

 入浴して身体を入念に洗い、歯を磨き、髪を整え、入念にメイクをする。用意されていた赤い首輪と指輪だけを身につけ、寝室の扉を開け、さらにその奥左側の隠し扉を開ける。その先に広がるのは、3年前と変わらない薄暗い秘密の部屋。私が本当の自分を解放できる場所。

 胸の高鳴りを押さえ、大きく深呼吸して入室する。そこで待っているのは千佳先輩の義理の父でお義兄さんと呼ばれている拓海さん、つまり私のご主人様だ。ご主人様とマゾ牝奴隷妻としての再会は、こんなセリフで始まった。

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