「これ、かわいくない!」
ラブホテルの浴室で自分のコスプレ姿を確かめてきた20歳の女子大生・乃愛が戻ってくる。
「うん?気に入らないか?エッチだとはおもうぞ」
乃愛にそれを着るよう指示した中年男がまじまじと見つめて呟く。今日は男の誕生日だった。
「エッチはえっちだけど」
乃愛はベッドに乗ると掛け布団で身体を隠して言った。
「終わりです」
全然終わりではなく始まったばかりだった。
乃愛は渋谷区にある名門女子大に通う2年生だ。子供の頃から海外旅行へ何度も行っていて英語が得意で国際コミュニケーションについて学んでいる。父親は政府関係組織のトップ層の人物で母親の実家は都内の資産家だ。
だが彼女自身はそうした家柄に奢ることのない謙虚な性格だった。家柄だけでなく能力や外見からも高慢になってもおかしくはなかったが。
高校時代はチアリーディング部の主将をしていた。披露するプログラムの企画・演出だけでなく、自分も中核メンバーとしてピョンピョン飛ばされて空中でチア衣装を翻して健康的な色気を発散していた。
大学にはAO入試で合格。学費以外、両親に頼らず必要なお金のほとんどを授業の前後や土日祝日の飲食店での健全なアルバイトで稼いでいた。
それでも授業を真面目に受講しレポートや試験をしっかりこなして1年次からずっと3.0以上のGPAを維持している。それは能力と言うより彼女の勤勉さの表れであり努力の賜物でもあった。頑張りすぎて体調を崩すことが度々あったくらいだ。
では女性としての魅力はどうか。彼女は優れた才能だけでなく美しく可愛い容姿の両方を兼ね備えている才色兼備の女の子だ。繁華街やアルバイト先でナンパされることも多く辟易していた。
背が低めで、どちらかと言えば美しさより可愛らしさが優る顔立ちとGカップの大きな胸からは、ファッションモデルというよりグラビアアイドルという外見を想起させる。
けれども上品な所作と言葉遣いが露出の少ない普段の服装とあいまってセクシーさをあまり感じさせず、むしろ近づきがたい高貴な「高嶺の花」感を湧き出させている。
丁寧に手入れがなされ枝毛がなく艶とサラサラ感のある腰まで届きそうな長い黒髪。下唇が厚めで上唇の中央の弓のラインがくっきりとした若々しくボリューム感のある口元。シミ一つなくハリとツヤがありしっとりとした手触りの瑞々しい白い肌。
特に魅力的なパーツは目頭と目尻がキュッと上がっている一方、中央部分がふっくらと丸みを帯びているアーモンド型のぱっちりとした大きくつぶらな瞳だ。吸い込まれそうなその瞳を眺めていると誰もが恋に落ち彼女を護りたいという庇護欲が掻き立てられてしまう魔性を帯びている。
そんな彼女も全てが完璧と言うわけではなかった。プニプニとした赤ちゃんのような手や、鼻が低く小さめなことを気にしていた。声のトーンが幼いこともコンプレックスだった。それらが20歳になった彼女を「大人の女性」というより「可愛い女の子」というイメージにとどめている要因だった。
しかし彼女をみる男達にとっては親しみやすさが抱けるポイントであり、むしろ彼女の魅力を高めていた。
性格面では、総合的な優秀さから人間感情の機微に疎いところがあり、正論をぶつけて敬遠されるだけでなく虐めにあったことさえあった。その完璧さは両親の高い要求に応えるために彼女が必死に頑張ってきた結果だから、彼女が自分の「正義」に縋るのも無理はなかった。
乃愛とその男の関係を一言で表現するのは難しい。乃愛には別の大学の3年生の彼氏がいたがプラトニックな関係だった。男とは30歳近く歳が離れていた。男は過去結婚生活が長かったが数年前に妻が死別したあとはずっと独り身を貫いていて、恋人や性的なパートナーはいなかった。
乃愛は男のことを「あしながおじさん」と親愛の情を込めて呼んでいた。それは男から金銭的援助を受けていたからではなく、単に男の脚が長いからに過ぎなかった。物語の結末ではヒロインが秘密の支援者と結婚することを知らなかった。
肉体関係はあった。男は乃愛の初めての相手だった。二人は乃愛が高校生の頃からの知り合いだった。乃愛が高校を卒業し大学生になり成人するとすぐに乃愛が男に処女を捧げた。
それから色々あり、お互いのことを全て知る、離れるに離れられない深い特別な関係になった。二人の関係は誰も知らない。時々お茶や食事をするが肉体関係はほとんどない。この時期が特別だっただけだ。
男にさえ本音を滅多に言わない乃愛の言葉。
「あなたが私を両親から救ってくれて、処女を大事に受け取ってくれて、愛されることを教えてくれた。男性の力強さも、恐しさも、人を裏切ることの醜さも、それが自分を深く傷つけることも、罪を償う方法も教えてくれた。それらすべてに感謝している。年の離れたとても怖くてとても優しいあなたを慕って、愛されて、大事にされて、すごく幸せだった」
その秋、二人は二週間ほど前に会って会食していた。そのまた二週間ほど前にも会ってラブホテルで過ごしていた。この日も含めたそれら3回のデートは乃愛から男への贖罪であり、感謝を示す誕生日プレゼントでもあった。
一か月ほど前、乃愛は初めて男の前でエッチなコスプレをした。ハロウィンに女友達同士でコスプレをしたことがあり、そのときに猫耳をつけた白い着ぐるみ姿の写真を男に送っていた。
そういうわけで冒頭の誕生日の話の前に、まずは1カ月ほど前のコスプレデートの話から。
二人は渋谷の円山町で待ち合わせて安そうなラブホテルにチェックインした。安い部屋を選んだのは理由があった。乃愛も払うからだ。
乃愛は男に全額払わせることを理由がないからと嫌がった。交渉の結果、通常はホテル代も食事代も概ね3分の1の額を支払った。男が乃愛を激励するための食事の時などはもちろん男がご馳走した。
安いだけあり室内は狭かった。しかしベッドの上から上半身が映る場所に大きな鏡があり好都合だった。
男は乃愛に裸になるよう命じると服を脱いだ彼女の細い首に専用の赤い首輪を装着した。それがプレイ開始の合図だから。
乃愛は男に「変態!」「なにこれ!」「エッチ!」等々、わーわーきゃーきゃー文句を言い立てながらも、男が取り出す衣装を従順に着ていった。長い髪は邪魔にならないようポニーテールにまとめていた。
最初は黒い透け感のあるベビードール。1年前に乃愛が男のスマホを悪戯して自分で購入した衣装だった。似合ってはいたが男が期待していたセクシー感が不足していた。乃愛自身もベッドの上に立って正面の鏡で自分の姿をチェックしたが不満だったようで、すぐに脱いでしまった。
次は男が前から偶然に見つけてずっと似合うと思っていたヒョウ柄フェイクレザーのテディ。生地面積が少なめだがバストも股間もきっちり隠れている。
胸も尻も大きい乃愛には生地が皮膚にぴったり張り付き、胸の谷間もできてよく似合っていた。尻尾とヒョウ柄のカチューシャも付けるとまさに女豹という感じで、とても可愛くセクシーだった。
乃愛も口には出さないがかなり気に入ったようで、身体の向きを変えたりポーズをとったりしながら鏡の中の自分の姿に魅入っていた。
最後はメイド服。黒いワンピースに白いフリルエプロンでスカートがふわりと広がる定番の衣装だ。肌の露出は少ないがスカート丈が膝上と短く胸にハート形の切れ込みがあるのでセクシー度は高い。
着るのに苦労し、後ろのファスナーは男が上げた。持ってきていた猫耳をつけさせると、赤い首輪をつけた猫耳奴隷メイドの完成だった。
このコスは特に乃愛の琴線に触れたようで、先ほど以上の時間をかけて鏡の中を自分の姿に魅入っていた。

乃愛は「コスプレなんで好きじゃない」と口では否定していたが、ネットでセクシーランジェリーやコスプレを頻繁にチェックしているのを男は知っていた。だからそんな乃愛を黙って微笑ましく見守っていた。
この日のコスプレは終わりだったが緊縛とスパンキングがまだ残っていた。すべて乃愛と事前に合意済だった。
男の指示に従い、乃愛はメイド服を脱いで裸でベッドの手前に立った。男の前で裸になることに慣れていて恥じらいも躊躇もない。それもどうなのかと男は思わないこともなく複雑な気持ちだった。
トランジスタグラマーな乃愛の肢体に麻縄で菱形縛りを施す。菱形を均等に綺麗な形にするのが難しく、室内温度を裸になる乃愛のために高く設定しているので汗が滴り落ちる。
縛られている間、退屈した乃愛は足で男のかばんの中身を漁り、ボールギャグを発見して青褪めていた。上品そうに見える乃愛には子供のように悪戯好きな所があった。
「ボンレスハムみたい」
縄掛けされた自分の肢体を鏡で見て乃愛は言った。最近太ったことを気にしていた。両親から否定され続けてきた乃愛には自分に自信が持てずに卑下してしまう癖があった。
身体を見慣れていて体重も知っている男の目線では太ったとしても全然気になるレベルではなく、相変わらず抱き心地の良い魅力的な身体にしか見えなかった。
縄でバストが砲弾のように飛び出た以外は引き締められたメリハリのある姿は被虐美に溢れていた。
「そんなことはない、とても綺麗でセクシーだ」
緊縛した身体を下から見上げながら真顔で男が言うと、乃愛は男を見下げ「ありがとうございます」と真顔でお礼を述べた。
嫌がったのでボールギャグは使わず縄を解いた。短時間でも少し縄の後が残った。
最後はスパンキング。
裸の乃愛をベッドに四つん這いにさせ頭をシーツにつけさせる。安産型の大きな尻もその間の女性器も丸見えになった。
臀部の柔らかな左右の肉を均等に5回ずつ、手首のスナップを効かせてピシャリ!ピシャリ!と小気味よく叩いた。乃愛の尻だけでなく、男の掌も熱を帯びて赤くなった。
乃愛は叩かれるたびに呻き「ごめんなさい」「悪い子でごめんなさい」と繰り返した。マゾ気質の彼女はそうやって肉体的な刺激だけでなく心理的にも自分を追い込んで被虐の快楽を貪るのだ。
その証拠に、スパンキングを終えた手を乃愛の股間に回すとしっとりと濡れていた。シーツにつけた横顔に目をやると頬が紅潮していた。
「俺も少し楽しませてもらう」
男がそう言い放つと乃愛は何も言わなかったが小さく頷いた。身体も心も男の愛撫を求めているのだった。
男は乃愛を仰向けにして上半身を起こし、背中に回り後ろから抱きかかえて体中を撫でまわす。滑らかで張りのある肌は触り心地が良かった。両方の手のひらで豊満な胸を揉みしだくと柔らかく弾力があった。
ゆっくり時間をかけてたっぷりともみほぐした。乳首は既に尖っていて優しく触れるだけでビクッと気持ちよさそうに反応した。
キスをしようと顔を近づけると乃愛は「だめぇ」と甘い声で拒否し首を背けて嫌がるふりをした。彼氏がいる手前の形ばかりの抵抗であることは暗黙の了解だった。男の獣欲を煽るだけだった。
顎を掴まれ強引に口を合わせられるとしばらく抵抗したものの、胸をまさぐられる快楽に負けて喘ぎ、開いた口の中に男の舌の侵入を許してしまう。
あとはなすがままに男の舌で口内を蹂躙され舌を吸われ絡ませられ、乃愛からも舌を入れてくるよう強要され、互いの唾液を飲み飲まされるような濃厚なベーゼが二人の協力の下で交わされた。
そんなキスの愛撫は男が贈った口紅が乃愛の唇から完全に剥がれ落ちるまで続いた。ディープキスが嫌いな乃愛だが男のキスだけは受け入れるよう調教されていた。
ぐったりした乃愛の肢体を横たえると、男はいよいよ乃愛の女性器に手を回した。もちろんそこは既にぐっしょりだった。
乃愛にはこのあとアルバイトの予定があり時間にあまり余裕がなかった。男は女性器に顔を近づけた。あまり使われていない乃愛の女性器は形が整っていて色も綺麗だが濃密なメスの匂いを薫らせていた。
男は滾々と湧き出し続けるその香りの元を舌で丁寧に拭き取り味わった。クンニリングスを痛いと感じることもある乃愛だがそのときはまったく大丈夫だった。
全ての愛液を舐めとることを諦めた男は顔を上げて乃愛の上半身に近づき「ありがとう、十分楽しんだ」と告げた。すると驚くことに乃愛は首を横に振った。
「もう時間がないよ」
そう告げる男の手を無言で掴むと己の秘所に導いた。もっと愛撫してもらって最後までイカせて欲しくなったのだ。
「乃愛は変態だね」
男が揶揄しても、ツンデレ属性で普段なら「違います!」と勢いよく否定するのに、この時は恥じらいながらコクリと小さくうなづいた。
自分だけに素直に淫らな本性を見せる乃愛を、男はたまらなく愛おしく感じた。いやらしいとは微塵も思わず、ただ嬉しかった。
「よしよし、愛してる」
男は陰核をトントンと指で軽く叩く。痛がるそぶりを見せず既に十分に濡れてもいるので、そのまま膣内に中指を慎重に挿入していく。
「大丈夫?」
コクリ。よし大丈夫そう。
「じゃあ乃愛のお願いを聞いてあげるから、ご主人様に感謝するんだよ」
コクリ。
乃愛の身体の脇に自分の身体を斜めに横たえ、右脚同士を軽く絡ませ頭の下に左手を回して乃愛の身体全体に触れ合う体勢をとる。乃愛の身体の柔らかな肌触りと温もりを感じながら右手の中指で乃愛の膣内の最も敏感な箇所を探り当てると、ひたすら単調なペースで指圧する。
だんだんと息が荒くなり乃愛の身体が発汗し熱が高まっていくのを体感する。目は閉じているが左手がなにかを求めるように空中を彷徨っている。指を絡ませると安心したのか動きが止まる。
「ギモぢイイ~、イイ~、イイ~♥」
才色兼備の愛らしい名門女子大生が出しているとは想像もできない下品ではしたない濁った声で喘ぐ。もうすぐイクのだ。
その瞬間を逃すまいと男は乃愛の顔を凝視する。しかし指の動きはそのままで、乃愛が自分のペースで自然に達するのを待つ。
グチュ、グチュ、グチュ、グチュ。
激しく指を振動させているわけではないのに、狭い膣内にとめどなく分泌される大量の愛液が潤滑油となり、男の指と乃愛の膣との人体楽器が濁った淫らなハーモニーを奏でている。
乃愛の瞳がきつく閉じられる。四肢が「く」の字に曲がり力が入り足の指先がぎゅっと内側に強く握りこまれる。乃愛の手で軽く握りしめられていた男の手もぎゅっと強く握りしめられる。
「イッ!グゥゥゥーーーーーーッ!♥」
乃愛が獣じみた濁声で叫ぶと膣がギュッと締まりドバっと蜜を吐き出した。オーガズムに達したのだ。
プルプルと痙攣していた身体から力が抜けていき、宙に浮いていた手足が愛液でびしょ濡れのシーツに投げ出された。
男はハァハァという乃愛の荒い呼吸が落ち着くのを待つ。指をゆっくりと引き抜いて乃愛の口に突っ込んで舐めさせ、自分が達した状態の感覚を味覚でも確かめさせる。
男自身もその指を舐める。酸っぱくほのかな塩味からまろやかな甘い味に変わっていた。
「ギリギリだから急いで!」
数分経って心身が落ち着いても気だるそうに裸で横たわり続けている乃愛。しびれを切らした男が発破をかけると飛び起きた。
慌ててシャワーを浴び服を着て身だしなみを整えると、男に挨拶もしないでラブホテルを飛び出していった。それだけ焦っていたということだ。
この日、男のほうは達していないが、それでも十分に満足していた。
その深夜、アルバイトを終えて帰宅した乃愛から連絡が来た。
「ありがとう、なんとか間に合った。今日私が乱れたことは忘れてください」
それは無理だよ、と男は思い、次のランチデートのレストランをネットで物色しはじめた。次回は食事をするだけだが、それでもとても楽しみだった。